ヤマノイモ・自然薯
10月下旬頃になると南房総各地の野菜直売所や道の駅の店頭にヤマノイモが並びはじめます。ヤマノイモは、通称ヤマイモと呼ばれ、ジネンジョウ(自然生)、ジネンジョ(自然薯)、トロロイモなど多くの呼び方があります。
ヤマノイモはスーパーで販売されている長芋や大和芋とどう違うのでしょうか?
今回は、山の芋、長芋、大和芋、鬼野老(おにどころ)の違いについて整理し、何品か料理を作って食べてみました。
ヤマノイモとは
参考:原色日本植物図鑑、野草雑草観察図鑑、Wikipedelia
山の芋(学名:Dioscorea japonica)は、やまのいも科ヤマノイモ属のつる性の多年草。学名の「japonica」の通り日本原産の植物。北海道から沖縄まで広く分布し藪や林に普通に見られます。
雌雄異株で花は8月。雄花は、葉腋(ようえき)から出る1~2個の直立する穂状花序につく。雌花は、葉腋から下垂する長い穂状花序につく。
果実は平たく3枚の羽があり中に種が入っている。
葉腋には1cm~2cmの球芽(零余子:むかご)が付く株があり食べられる。地上部は1年で枯れる。根は地下に長く伸び1mを超えることもある。根は堀とって食べ、トロロとして有名。
ヤマノイモとオニドコロの違い
ヤマノイモに似た植物にオニドコロがあります。ヤマイモ同様、地下茎ができますが、苦くて食べられません。(古代人は食用とした)
下の絵(絵を描くのは苦手です)の様にヤマノイモの葉はハート型で細く対生。オニドコロは、葉が丸みを帯びていて互生。
左下の写真はヤマノイモ。葉が枯れ始める頃にむかごができます。右下の写真はオニドコロ。
ヤマノイモ、長芋、大和芋の価格
長芋、大和芋はスーパーで普通に見られますが、ヤマノイモは、あまりスーパーでは見かけません。
通販価格はかなりばらつきがあります。
ただ、ヤマノイモは非常に高価。直売所価格は、栽培もので1本1,200円~、天然のもので1本2,500円以上。通信販売だと更に高価です。
ヤマノイモを食べたいという方は、房総の直売所、道の駅で買うのがおすすめ。送料がかからないため安く、地元で生産されるため新鮮だからです。
3つの違いを表にまとめてみます。(価格は通販の送料込み)
名称 | 形 | 通販価格 1kg当たり |
---|---|---|
山の芋 (自然薯) |
細長い (直径1cm~3cm位) |
5,000円~ |
長芋 | 細長い (直径5cm~7cm位) |
600円~ |
大和芋 (いちょういも) |
手の平の様な形 | 1,000円~ |
左下の写真が長芋、右下の写真が大和芋。
ヤマノイモ、長芋、大和芋の食品成分
ヤマノイモ科ヤマノイモ属の山の芋、長芋、大和芋・・・類をまとめて「ヤマイモ」と呼びます。「ヤマイモ」は芋類の中で唯一生で食べられる食材です。
ヤマノイモは細長くネバネバ、ヌルヌルで栄養価が高いことから、昔から「山のウナギ」とも呼ばれてきました。
粘りの強さは、ヤマノイモ一番で次は大和芋、長芋。味の濃さもこの順番です。
※科学文部省日本食品標準成分表 PDF(日本語版)より。可食部100g当たり
山の芋 | 長芋 | 大和芋 (いちょういも) |
じゃがいも | |
---|---|---|---|---|
水分(%) | 68.8% | 82.6% | 71.1% | 79.8% |
エネルギー (kcal) |
121 | 65 | 108 | 76 |
たんぱく質 | 2.8 | 2.2 | 4.5 | 1.2 |
亜鉛 | 0.7 | 0.3 | 0.4 | 0.2 |
ビタミンE (α) |
4.1 | 0.2 | 0.3 | Tr (微量) |
ビタミンB2 | 0.04 | 0.02 | 0.05 | 0.03 |