房州サザエ【房州の食材】

2021年08月24日

房州サザエ(ぼうしゅうさざえ)

 

サザエについて

 
安房地方で最も多く見かける貝はと聞いたらほとんどの人はサザエと答えるのではないでしょうか?。これほど多く見かけるサザエですが、千葉県の漁獲高を調べてみると、アワビが全国2位なのに対し、サザエは8位(平成27年)とちょっと意外な結果です。ちなみに1位は長崎県、2位は山口県となっています。
 
今まで漁師さんから大量にいただいたサザエは、一度に食べきれないので冷凍にして刺身、壺焼きにして食べていましたが、途中で飽きることもあるので、今回はサザエの料理方について徹底的に調べてみました。
 
サザエはリュウテン科サザエ亜属に属する巻き貝。旬は春といわれていますが、季節によって大きな違いはありません。千葉県に生息されるサザエの種類を調べてみると、一般的に食用になっているものは少なく、本家のサザエ位しか見当たりません。よく姫サザエ(南海ザザエ)の名で販売されているものは中国大陸や台湾産のようです。体長が2cm~3cmのコシダカサザエは子供のころ磯で獲って塩ゆでにして食べていました。磯に行くと数種類の巻き貝があり、フタが茶色で平らなものを苦玉(イボニシ)、フタが丸く厚みがあるものをタマキビと呼んでいて、タマキビの方が苦味がなく美味しいとされていました。
 
【漢字】栄螺、拳螺、栄螺子
【学名】Turbo sazae Fukuda
【分布】北海道南部から九州、朝鮮半島南部
 
千葉県の禁漁期間は6月から7月。それ以外の時期はスーパーや鮮魚店、おみやげ店などで普通に販売されています。価格は大きさにもよりますが、通販で1kg2,000円から3,000円。安房地方の鮮魚店では1kg1,380円と通販の半値以下です。サザエはアワビに比べてはるかにリーズナブルですが、歩留まり(全体の重さに対する可食部の割合)の悪い食材として有名で、可食部は15%位です。
 
サザエは棘の長いものと短いものと2種類あり、波が荒い場所のものは流されないように棘が長くなるといわれています。味は違いがないようなので、どちらか迷ったら棘のない方をおすすめします。何故かというと、棘のない方が歩留まりが良いからです。
購入したサザエ
 

サザエの下ごしらえ

 
獲れる地域によって砂が多いものと、ほとんどないものがあります。砂抜きは1リットルの水に塩30gを入れサザエを一晩入れておきます。
 
サザエを綺麗に取り出すのは結構大変です。フタが少し開いているうちに、殻の内側に小型のナイフやスプーンの柄を差し込み殻と貝柱を一気に切り離します。躊躇するとフタを閉じてしまうので一気に決めるのがコツです。この時殻を下に固定しておかないと怪我をするので注意してください。
 
切り込みを入れたら貝殻に沿って指を入れ、殻と貝柱を切り離します。ここまでやったらフォークなどで身を取り出します。
さざえの取り出し方殻の中に指を入れる

 
一般的に食べる部分が頭の筋肉の部分、内蔵の先にある貝柱と内臓の一番先の色が変わっている部分(肝)です。肝の白いのが雄で緑色のが雌。肝はよく洗えは生でも食べられますが軽く茹でた方が安心。肝醤油を作って刺身を食べるのがおすすめです。
 
取り出したサザエサザエの口の部分

 

サザエ料理

 

刺身

 
サザエを薄くスライスして、殻に大葉などを敷いて盛り付けます。コリコリした食感と磯の風味が楽しめます。肝醤油で食べるとコクと磯の風味が増します。
サザエの刺身
 

サザエの壺焼き

 
サザエの内蔵を殻の中に入れ、身を適当な大きさに切って入れて焼くだけ。醤油だけだと塩辛いので半分位酒か水を加えます。殻の中に残ったスープはサザエのダシが出ていて美味いです。

サザエのエスカルゴ風

 
エスカルゴはカタツムリを使ったフランス料理。バターを常温に戻して、みじん切りのニンニク、パセリ、エシャロットを混ぜ合わせエスカルゴバターを作り殻に入れます。後は壺焼き同様に焼くだけ。これは初めて作りましたが、ワインに合いそうです。
<材料>
・バター
・にんにく
・パセリ/エシャロット(玉ねぎでも可)
サザエの壺焼きとエスカルゴ風
 

サザエカレー(海女カレー)

 
昔、牛肉や豚肉が高価だったころ、南房総では肉の代わりにサザエをカレーに入れていたそうです。南房総市白浜町の周辺では、サザエ入のカレーを『海女カレー』と呼び
海女カレーを提供するお店が数多くあります。
 
野島崎公園 サザエカレーが食べられるお店
 
カレーにするとサザエの風味はそれほど感じませんが、コリコリした食感が楽しめます。
サザエカレー
 

サザエのアヒージョ

 
アヒージョは具材をオリーブオイルとニンニクで煮込んだスペイン料理。今回は面倒なのでスーパーで買ったアヒージョにサザエを入れてみました。しかし、買ったものはお店で食べるアヒージョとは全くの別物だったので、調べたレシピを書きます。
 
調理は難しくありません。小さめのフライパンにみじん切りのニンニク、唐辛子を入れ小さな泡がでるまで弱火で加熱します。オイルにニンニクの香りが移ったら、具材を入れて弱火で煮込むだけ。コツは具材の水気をしっかりと切ること。
 
スペインでは残ったオイルを残さないのがマナーとされていて、バケットやチュロスと食べるのが一般的なようです。
<材料>
・オリーブオイル
・塩またはクレイジーソルト
・ニンニク
・唐辛子
・野菜(ブロッコリーやマッシュルームなど)
・エビ、アサリ、サザエなど
サザエのアヒージョ
 

サザエの味噌漬け(粕漬け)

 
サザエの味噌漬けは、普通は一旦サザエに火を通すようですが、今回は生でやってみました(単に面倒だっただけです)
これは白い御飯と酒のつまみにピッタリです。
味噌だけだと味が濃いので半分酒粕を加えるとマイルドになります。
サザエの味噌漬け
 
カメラを調整していたら、猫が音もなく忍び寄ってきてサザエを舐めてしまいました。
この猫はネズミを捕るのが得意で、細菌が怖いので結局全部廃棄してしまいました。
しかし、この顔を見るといつも許してしまいます。
サザエを食べようとする猫

詳細情報

名称

房州サザエ
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