温暖な南房総では多くの野菜が生産されていますが、その中でも代表的なのが空豆、菜花、落花生ではないでしょうか。今回は空豆について調べて、色々な料理を作ってみました。
空豆とは
参考サイト:Wikipedia(ソラマメ)
空豆はマメ科の一年草。漢字では蚕豆、天豆、英名はBroad bean または Fava bean、学名はVicia faba。原産は東南アジアやカスピ海などと推測され、古くから世界各国で食用にされています。
日本には8世紀頃中国から渡来したといわれています。蚕豆の名は蚕(カイコ)を飼う初夏の頃に食べる、天豆(テンマメ)の名は食べ頃になると天を向くことから、このように呼ばれるようになりました。
豆類としては最も大きな部類に入るため食べごたえがあります。干し空豆やレンズ豆を煮込んで、レモン汁、オリーブオイルなどをかけて食べる「フール・メダンメス」はエジプトの国民的朝食になっています。
空豆中毒
グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症の者が空豆を食べると溶血により発熱や貧血がおこり、急性腎不全により死亡する場合があるとされています。この欠乏症は地中海、中央アジアなどの男性に限る遺伝的な疾患されていて、ピタゴラスの空豆嫌いは有名な話です。なお、日本での中毒報告例は無いといわれています。
産地
世界の空豆の生産量トップはアルジェリアで中国、モロッコ、スペインと続きます。
日本では鹿児島県が全体の30%でトップ、次いで千葉県13%、愛媛県8%(平成16年)となります。
市町村別に見ると鹿児島県指宿市が出荷量3,270tでトップ、千葉県山武市が580tで全国3位、同じく千葉県南房総市が171tで全国11位となっています。(平成18年)
参考サイト:日本国内および海外向け日本の農産物販売促進サイト市町村そら豆産地-生産ランキング トップ100
栽培
播種は10月、種苗店で種を購入します。播種の2週間前に石灰と堆肥を入れて耕します。
豆科の植物は根に根粒菌があり窒素分を自分で作るため、肥料を与え過ぎるとつるボケを起こして枝葉ばかりが大きくなってしまいす。
豆類は連作障害が起きやすいので毎年ローテーション(輪作)して3年から4年間隔を空けます。
3月から4月に花が咲きます。豆科特有の形で花びらは白か薄紫、中心は黒に近い紫です。
南房総の収穫期は5月上旬から下旬。最初サヤは下を向いていますが収穫期になると上を向くので「空豆」「天豆」と呼ばれています。
購入と時期
空豆が野菜直売所や道の駅に並ぶのが5月上旬から下旬にかけて。5月に南房総に来たならお土産や贈答品は空豆を選ぶのがおすすめ。
理由としては、
1.「安い」 3kgで700円~3,000円。1,500円以内の価格帯の物は午前中に売り切れてしまうので早い時間に来店してください。東京ではこの値段では購入できません。
2.「豪華」 安い割に豪華で贈答品として喜ばれます。
3.「新鮮」 空豆は鮮度が落ちるのが極めて早い野菜(収穫から3日)。南房総の店頭に並ぶ物はほとんどが朝採れです。
サヤの中は大きな豆が2つから4つ入っていて、内側はふかふかのワタが詰まっています。
ワタはスプーンで掬って食べることができるそうで、食べてみました。ちょっと甘味を感じまずくはありませんが、何せ量が少ないので食べるのは面倒です。
空豆を3kg買うと廃棄する生ごみは結構な量になります。最初は生ごみとして捨てていたのですが、細かく砕いて干してから庭に播いたら最上の土壌改良剤になり土がフカフカになりました。
サヤは肥料や土壌改良剤として再利用できるのです!。
空豆のレシピ
日本の空豆は焼いたり煮たり火を通して食べるのが一般的です。試しに生のまま食べてみましたが、少しエグみを感じます。イタリアのファーべという品種の若い豆はエグみが少なくサラダとして食べられているようです。ファーべを食べてみたいと思って散々探しましたが見つかりません。もう見つかないと思ってあきらめようとした時、南房総市久枝の大紺屋農園(おおごや農園)で作っていたのを思い出し、連絡してみると毎年作っているそうです。しかし、残念ながら収穫は4月~5月までだそうで時期が過ぎていました。大紺屋農園は少量多品種を生産する農園で珍しい野菜が多いのです。
今まで空豆は単純に塩茹でて食べていましたが、今回は色々と作ってみました。全部作るのに使った空豆は6kg。毎日空豆ばかり食べていました。
茹で空豆
豆をサヤから出してお歯黒の所に包丁で切れ目を入れるのがポイント。下ごしらえをすることで塩味が染み込み美味しくなります。
水300mlに塩を15g(大さじ1)ほど入れ沸騰したら2分~3分ほど茹でるだけ。
焼き空豆
オーブントースターなどでサヤごと焼くだけ。空豆の濃厚な旨味がダイレクトに味わえる一皿。サヤの内側にあるワタも食べられます。
空豆・ベーコン・ジャガイモの炒め物
空豆、ジャガイモ、ベーコンを炒めるだけ。味付けは塩コショウ。オリーブ油やガーリックを入れても美味しいです。
空豆ご飯
空豆の薄皮をむいて炊飯器に入れて炊くだけ。空豆の甘みが存分に味わえます。白いご飯と緑色が綺麗なので醤油は入れませんでした。味付けはカツオ、コンブ、塩のみ。
空豆のポタージュ
空豆を茹でてミキサーやすり鉢ですり潰します。裏ごしをすれば完璧ですがそのままでも大丈夫。これをポタージュに混ぜて温めるだけ。インスタントのポタージュでも大丈夫。緑色が綺麗で濃厚な旨味がありおすすめです。
空豆と小エビの天ぷら
空豆の濃厚なコクが味わえます。
空豆とシーフードミックスの炒め物
空豆、小エビ、アサリ、貝柱などを一緒にオリーブ油で炒めるだけ。味付けは塩コショウのみ。シーフードと空豆のコンビネーションが絶妙。パスタに混ぜても美味しいです。サフランを加えると豪華な味になります。
ターメイヤ(空豆のコロッケ)
ターメイヤはエジプトを代表する朝ご飯。空豆のコロッケです。エジプトでは衣に白ゴマを使います。
写真の上部はコロッケ、下部は素揚げにしました。素揚げは海苔でお歯黒をあしらってみました。