日運寺(房総のあじさい寺)

2023年04月04日

勝栄山日運寺概略

 
南房総市加茂の「日運寺(にちうんじ)」は、房総のあじさい寺と呼ばれ、6月初旬から7月上旬にかけて、境内にあじさいが咲き多くのカメラマンが訪れます。
【山号】勝栄山
【宗派】日蓮宗(天津小湊誕生寺末)
【本尊】日蓮聖人
【ご朱印】あり
【由緒・沿革】(参考文献:丸山町史)
昔は勝栄坊という真言宗の小堂でした。文永元年(1264年)日蓮聖人が鎌倉から小湊に帰る途中にここに宿泊したとき、住職の行然法印が日蓮の人徳や高説に敬服し日蓮宗に改宗したといいます。それから約300年後、勝浦城主の正木時通と弟の頼忠が元亀二年(1571年)勝栄坊を再興し「勝栄山日運寺」と改称しました。後に徳川幕府の直轄地となり、慶安元年(1648年)七月十七日寺領10石の御朱印を賜わりました。
 
享保八年(1723年)大十五世莖心院日海典が直径二尺五寸の大梵鐘を鋳造し境内に鐘楼を建立しましたが、梵鐘は戦争中に供託されました。享保十一年(1727年)仁王門を建立。享保十六年(1731年)祖師堂を建立。大正三年(1914年)に本堂を建立するも、大正十二年(1923年)の関東大震災でことごとく倒壊。昭和十二年に大本堂を再建。昭和二十三年(1948年)庫裏を改築。昭和五十六年日蓮上人七百遠忌記念事業の一環として、仁王門屋根の改修、七面堂、上行堂を再建。
 


 

境内案内

境内にはおよそ2万株のあじさいが植えられていて房総のあじさい寺として有名。
このあじさいは昭和四十五年戒心院日達代に弟子須金教徳が近隣檀徒の助成を得て植樹したものです。
 

日運寺あじさいの見頃と開花状況

あじさいは6月上旬より咲き始め、6月中旬から7月上旬が見頃です。
2024年6月4日現在、紫陽花は3分咲きです。
2023年6月4日現在、紫陽花は3分~5分咲きです。
2022年6月20日現在、紫陽花はちょうど見頃です。
 

あじさいとは

あじさいは漢字では紫陽花、八仙花、学名はHydrangea macrophylla。アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種。
 
原種は日本に自性するがくあじさいで、これと区別するため、ほんあじさいと呼ばれることもあります。花の色は土の酸性度によって変わり、酸性なら青、アルカリ性なら赤くなるとされています(品種により異なる)。
 
あじさいには毒があります。毒の成分は青酸配糖体とされ、度々中毒例が報告されています。あじさいの中毒例。飲食店であじさいの花の天ぷらなどを提供している場合もあり、これは本当にあり得ないことです。
一般に食べていないものを客に提供する場合は、よく調べるのが飲食店の責任だと思います。
日運寺のあじさい
 
紫陽花は、ホンアジサイ、ガクアジサイ、セイヨウアジサイの3種に大別され、現在では2000種以上の品種が存在するとされています。日運寺でも毎年新しい品種を見ることができます。
 
あまり詳しくはわかりませんが、境内に咲いている珍しいものを撮影し、画像検索で調べてみました。
下は北アメリカ原産のアナベルだと思われます。ピンクと白が混在しています。
アナベル

【ガクアジサイ(ブルースカイ/タマアジサイ)】
ガクアジサイのアップ
【アナベル】
アナベルのアップ

 

カシワバアジサイ

葉の形が柏に似ています。円錐形の花房が特徴で秋には紅葉するので1年で2度楽しめる最近人気の品種。

ダンスパーティー

ガクアジサイとアメリカの品種を改良した品種。ピンクまたはブルーの華やかな色が人気。

【カシワバアジサイ】
カシワバアジサイ
【ダンスパーティー】
ダンスパーティー

 

仁王門 南房総市指定文化財(昭和53年)

駐車に車の横には仁王門があります。この門は享保11年(1726年)日典上人が建立し日忍(にちにん)が再建。昭和56年(1981)に銅板葺に改修されました。
本尊は執金剛神(仁王)です。
 
日運寺の仁王門 南房総市指定文化財

榧(かや)の木 南房総市天然記念物(昭和50年)

仁王門のすぐ先には短足のキリンの様なユーモラスな木があります。樹齢は推定600年、幹周2.5m。
大正6年(1917年)の強風で倒れてこのような形になってしまったそうです。
日運寺の榧の木 南房総市天然記念物

正木時通・正木頼忠の墓 南房総市指定史跡(昭和54年)

正木時通は天正三年(1575年)入寂、日運寺に中興開山。時通の弟正木左近太夫頼忠は兄の後を嗣ぎ勝浦城主となり里見氏の重臣として栄えていました。
慶長十九年(1614年)里見氏の没落により紀州家の家老であった次男為春のもとに同居し余生を送っており元和八年(1622年)に没しました。
(参考文献:丸山町史)
日運寺の正木時通・正木頼忠の墓  

日運寺の本堂

本堂は大正12年の関東大震災で焼失。現本堂は昭和12年(1937年)に再建されました。
日運寺の本堂の画像

日鑑上人入定窟 南房総市指定史跡(昭和50年)

代日鑑上人(日運寺第18代住持)が文化5年(1808年)に断食・入滅した際の入定窟です。
入定とは、僧侶が念仏を唱えながら窟に籠り、断食して最後を遂げるというというものです。
安房地方には江戸時代頃の入定窟が多く残されており、現代であれば周囲の人々は自殺幇助(じさつほうじょ)になってしまう可能性があります。
 
【安房地方の入定塚】
・西春法師入定塚 南房総市白浜町滝口7279-2
 寛文七年(1667年)
・真応入定窟 南房総市谷向
 享保八年(1723年)
向西坊入定窟 南房総市和田町花園
 享保十六年(1731年)
延命寺入定窟 南房総市本織2014-1
 明和二年(1765年)
・慈眼法師入定窟 鴨川市岡波太
 安永七年(1778年)
・増間入定窟 南房総市増間大日山
 文化年間(1804年~1817年)
実浄法師入定塚
 安政四年(1857年)
遠山寿法恭主入定塚 南房総市丸山町川谷 犬切観音堂
 天明五年(1785年) 
日運寺の本堂の画像
 
1.本堂改修時の屋根瓦
2.梵鐘と日蓮上人行脚像
3.納骨堂
4.御杖井戸:日蓮聖人が日運寺に立ち寄った時、村人が飲水に困っていると聞き、杖を地面に立てると清水が湧き出たと伝えられています。この井戸は昭和8年頃移設されています。
 
日運寺の本堂の画像

七面堂

本堂横の階段を登って行くと七面堂があります。七面堂には法華経を守護する女神「七面大明神」が祀られています。
 
日運寺の七面堂

奥の院

七面堂から更に先へ行くと赤い鳥居が見えてきます。鳥居の下の階段を登ると「奥の院」があります。この先5分位歩くと「加茂神社」があるのですが、その加茂神社の奥の院です。
 
加茂神社の奥の院

釈迦堂

本堂の横から歩いて行けますが、ここは駐車場があるので車で行くことができます。釈迦堂には三体の釈迦如来像が祀られてます。釈迦堂は山の中腹にあるため見晴らしが良く、海まで見渡せます。
また、この辺りには加茂青壮年楽勢会共働会植樹事業により「寒緋桜」(3月中旬)・「紅枝垂」(3月下旬)・「大島桜」(4月上旬)が植えられています。
日運寺の釈迦堂
日運寺の釈迦堂からの眺め

請雨塔(しょううとう) 南房総市指定史跡(昭和50年)

請雨塔は日運寺の西側約1km位の堀切堰の横にあります。(探すのに時間がかかりました)
明和八年(1771年)に大旱魃があり村人が困っていたため、日運寺の住職である日敬は「3日後までに雨が振らなければこの身を焼いてください」といい断食して雨乞い祈願をしたところ、3日後に大雨が降ったと言われています。その後日鑑(にちかん)も堀切堰で雨乞祈願をし同時に、この堰での鮒や鯉の捕獲を禁じました。
この二人の功績を称えるために天保十一年(1840年)に請雨塔が建てられました。
※この堰は魚がすごく釣れそうな雰囲気ですが、釣り禁止です。
 
釈迦堂からの眺め

日運寺のあじさい祭り 2016年6月12日(日)10:00~15:00

 あじさい祭りはあじさいが咲く6月第2日曜に開催されます。日運寺の境内に露店が出てカラオケ大会などの催しがあります。
日運寺のあじさい祭りの様子
  


 

おすすめの飲食店

日運寺に立ち寄ったなら、是非行っていただきたいのがいわし料理「なむら」です。このお店は「にっぽんの宝物」世界大会優勝 他、数々の賞を受賞している、いわし料理の名店です。とくにおすすめなのが、「ひしこ押しずし」と「いわし漬け丼定食」です。
 


 
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詳細情報

名称

勝栄山 日運寺(かつえいざん にちうんじ)

住所

千葉県南房総市加茂2124

お問い合わせ先

0470-46-2196

※スマートフォンの方は電話番号をタップで直接電話できますので、営業時間や定休日をご確認下さい。
また掲載されている情報はこの記事を掲載した当時の情報ですので、古い場合がございます。
お問い合わせの際は「『房総タウン』を見た」とお伝えください。

定休日

なし

駐車場

あり(無料)

アクセス

・JR内房線「南三原駅」より約3.4km 車で約5分
・JR内房線「館山駅」より日東バス館山鴨川線「加茂坂下」バス停より徒歩5分(館山駅よりバスで約20分)

備考

【トイレ】あり
【御朱印】あり
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