八雲神社【三島湖畔の崖っぷち神社】

2024年11月24日

八雲神社(やぐもじんじゃ)

君津市正木の「八雲神社」は、三島湖畔の断崖絶壁に建つ特徴のある神社です。

八雲神社概要

(参考文献:君津市史 通史編/千葉懸君津郡誌 下巻)
【社格】無社格
【祭神】素戔嗚命(スサノオノミコト)
【祭礼】かつての例祭は7月15日(現在は不明)
【御朱印】なし
【由緒・沿革】
君津郡誌には以下のように記載されています。ただし、君津市正木には、ともゑ釣り船付近にも「八雲神社」が鎮座していて、下記はどちらについて記載したものなのかは不明です。
「正木字東台」とあるので今回紹介する方について書いたものののような気がします。

祭神は素戔嗚命にして三島村正木字東臺(ひがしだい)に鎮座す。社地七十六坪、地勢平坦なり
由緒等詳らかならず。祭礼は七月十五日なり。

集落がないのにどうして手堀のトンネルが多いのか? どうしてこのような断崖絶壁に神社を建てたのか?色々と解らないからないことだらけです。
君津郡誌に「社地七十六坪、地勢平坦なり」とありますが、七十六坪あるようには見えません。
 
書籍を調べても解らないので、写真を見ながら考えてみることにしました。

境内案内

車は三島ダム最下流の駐車場に停めてください。ここには公衆トイレもあります。
公衆トイレがある駐車場
神社は駐車場から見てダムの対岸の崖付近に鎮座しています。(下の写真の赤枠付近)
三島ダム入口付近からの風景
車を降りたら左へ進みダムと山の間の細い道へ進みます。
道の左側の崖は地層がはっきりと見えています。
 

【入口の細い道】
入口の細い道
【岩肌の地層】
岩肌の地層

神社へ行くまでに2つの手堀りトンネルがあります。三島ダムのトンネルというと、奥米隧道が心霊スポットとして有名ですが、このトンネルに関しては心霊現象が見られるという噂はありません。

【最初のトンネルの入口】
最初のトンネルの入口
【第一トンネルの内部】
第一トンネルの内部

一つ目のトンネルを抜けると二つ目のトンネルが見えてきます。

【二つ目のトンネル入口】
二つ目のトンネル入口
【トンネル内部】
トンネル内部

二つ目のトンネルをしばらく進むと右側に横穴が見えてきます。この横穴を右折すると神社の境内が見えてきます。
 
なお、神社へ行かずにそのまま進むとどうなるのでしょうか?
面白そうなので行ってみました。
 
トンネルを抜けると細い林道のような道がずっと続き途中は何もありません。数300~400mほど進むと民家が1件見えてきます。
更に進むと廃屋があり、そこで行き止まりとなっています。民家がほとんどないこの場所にどうして長い手堀りのトンネルを掘ったのでしょうか?
神社への道
話を神社に戻して、横穴を進むと神社の境内が見えてきます。正に断崖絶壁に建つ崖っぷちの神社です。
境内全景
拝殿手前に石宮と手水石が置かれています。石宮に文字は見えません。手水石は「昭和三十三年 奈良輪」と刻まれています。

【石宮】
石宮
【手水石】
手水石

拝殿の門幕は「平成十四年三月七日 氏子中」となっています。
拝殿
拝殿直下は三島ダムです。

どうしてこの場所に神社があるのか?

最初に書いた通り、集落がほとんどないこの場所に神社を建てたのか不思議でなりません。拝殿様子や手水石年代から少なくとも昭和三十年代からこの場所に建っていたように思われます。
ただ、千葉懸君津郡誌によると社地七十六坪とあり現在はそれより狭く見えます。ということは、神社より後になってダムが完成したようです。
 
三島ダムについて、君津市史を要約すると以下の通りです。

小糸川沿岸土地改良区

昭和初期、市域農家はしばしば旱魃の影響を受け根本的な解決を必要とした。小糸川流域では、その対策として上流にダムを建設する計画を立てた。当初の計画は、総工事費200万円、10年計画であった。
しかし工事期間が長過ぎることや、工事費の問題などで途中で5年で完成を目指すように変更された。
 
昭和十八年(1943年)県知事出席のもと起工式が行われた。しかし、ダム建設の敷地となる地元で反対があり、特に正木地区では耕地の大半が潰れ地となり道路が寸断されるなど被害が大きいため、反対運動が盛り上がり不穏な空気が流れはじめた。
 
これを受け久留里警察署は警備員を派遣し、ダムの必要性や警察署長の熱意を伝えたところ、徐々に絶対反対から買収価格等の条件闘争に変わっていった。地代金、離作料のほかに同情金を送ることで交渉成立して昭和十八年(1943年)七月二十日に土地譲渡の契約書に調印された。
 
起工式も済み工事に着手したものの、戦争の激化により中断。昭和二十一年築堤工事は再開されたが、人力による堤を築く工事と資金難により工事は難航したが昭和三十年に工事は完了。知事は清和村長に貯水の承諾を求め、村長は昭和三十一年四月一日に承諾の回答をした。
 
その後一部の地域にダム用水の灌漑を開始し、昭和四十三年十一月二十九日盛大に竣工式を行い喜びを分かちあった。

拝殿下の三島ダム

詳細情報

名称

八雲神社

住所

〒292-1174 千葉県君津市正木152

定休日

なし

駐車場

あり

アクセス

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