

亀の手
房総の駅とみうら内の「南房総おさかなセンター」で鮮魚を買おうと立ち寄ってみると、金谷産の「亀の手」が販売されていたので購入して食べてみました。
亀の手は房総の海でどこでも見ることができます。防波堤や岩の干潮帯に下の写真のようにくっついています。
潮が満ちてくると細長い触手をヒラヒラさせています。潮が干上がると殻を閉じて引きこもっています。
一体この珍妙な生き物は何なのか? 貝の仲間なのか? 食べる前に調べてみました。
亀の手とは?
亀の手は、ミミョウガイ科の甲殻類。名前に貝と付きますが、貝の仲間ではなく、フジツボ同様エビやカニの仲間です。
名前の通り亀の手に似ていますが、当然ながら亀の仲間ではありません。幼生期は海の中を遊泳していて、成長すると石灰質を分泌して岩に固着します。
上の写真は北条海岸のコンクリートに付いていたものです。
【学名】Pollicipes mitella Linnaeus
【分布】北海道~沖縄、マレー半島など
【利用】
スペインやポルトガルではペルセベス(Percebes)と呼ばれ高級食材です。東南アジアでも食べられています。日本では、四国、大分や鹿児島県屋久島などで良く食べられています。
千葉県でも海辺では食べたことがあるという話は普通に聞きます。
食べ方は塩茹でや味噌汁、酒蒸しなど。また、イシダイの釣りのエサとしても使われています。
どこで売っている?
今まで飲食店で見かけたのは1回だけ。茅場町の貝焼専門店(現在は閉店)で炭火焼で食べました。
鮮魚店などで販売されているのを見たのは富浦の「南房総おさかなセンター」が初めて。
最近は豊洲の市場で販売されているようです。
通販では数多く出回っていて、価格は、1Kg4,000円から6,000円程度とかなりの高値、しかも重さの割に可食部が少なく歩留まりが悪い食材です。
南房総おさかなセンターでナガラミ、バテイラ(シッタカ)、ツブ貝などと一緒に鮮魚コーナーに並んでいました。
私は食べたことがない食材を見ると反射的に買ってしまうので迷わず購入しました。
金谷産です、価格は1Kg2,100円なので一般に出回っている情報よりリーズナブルです。
どんな味?
インターネットなどでは「エビ、カニと貝の中間的な味」、「濃厚なダシがでる」とされています。
活きているうちに塩茹でと味噌汁にして味を確かめてみました。
亀の手をザルに入れかき混ぜながら流水でゴミを洗い流します。
鍋に亀の手が浸かる位の塩水(1Lに対し塩20gほど)入れ亀の手を入れ火にかける。
沸騰したら火力を落とし5分ほど煮る。煮過ぎると縮んで固くなる。
爪のような部分をひねると簡単に取れるようですが、知らなかったのでキッチン鋏で縦に切り裂きました。
それでは早速食べてみます。
食感は柔らかめの貝ようにプリプリしています。どことなくナタデココのようでもあります。
味はまあまあイケます。「エビやカニ」の味は私には感じません。あっさりした貝のようでフジツボの味にそっくり。ほんのり磯の香りで、後から旨味と甘味がでできます。
味噌汁はダシを出すため水から入れてみました。濃厚というよりはほのかな磯の香り。癖はまったくありません。