

房州わかめ
寒い冬が過ぎ、河津桜が咲きはじめる頃になると店頭に生わかめが並びはじめます。房州(安房地方)で早春の香りを感じる食材といえば「菜花」、「わかめ」、「ふきのとう」などが思い浮かびます。
今日(3月10日)はわかめをたくさんいただいたので、今が旬のわかめについて調べ料理を作ってみました。
わかめとは?
学名はUndaria pinnatifida 漢字は「若布」「和布」。コンブ目チガイソ科に分類される大型の海藻の1種。
自然分布は日本を含む東アジアの沿岸部。1980年代以降、人間活動によってヨーロッパ、北アメリカなど世界各国に侵入し、養殖漁業の妨げとなり、世界の侵略的外来種ワースト100に指定されています。
参考サイト:Wikipediaワカメ
下の画像は金谷港に生えていたものです。2月から4月位の間は房総の各漁港で普通に見られますが、漁業権がないと採取することはできません。
わかめを撮影するために布良漁港、船形漁港、富浦漁港、金谷漁港を周ってみるとどこでも見ることができました。
ちょっと余談になりますが、撮影をしていてあることに気が付きました。どの港でも小魚1匹見る事ができなかったのです。
私が子供の頃(50年ほど前)はコマセを撒くとメジナ、海タナゴ、ボラ、メバルなどが大量にいて海の中は魚だらけでした。
ところが段々と魚が減っていき、2024年頃から極端に魚が減っているのです。これは気のせいではありません。海水温の上昇、乱獲、産卵場の減少など色々な原因が考えられていますが、小魚すら見えないということは、そもそも魚が産卵できないということなかも知れません。
とにかく一刻も早く原因を調べて対策を練らないと港で釣などできなくなってしまいそうです。
わかめの栄養素は?
ヌルヌル成分のアルギン酸(水溶性食物繊維)、カルシウム、ミネラル、よう素などが豊富で低カロリー。成人病予防に効果的とされ良い事づくめの様に思われます。
ところが、食べ過ぎは禁物。ヨウ素含有量が多いため食べ過ぎると甲状腺障害を引き起こすようです。
上限値を調べたところ、生わかめだと1日8.1gとあります。健康に良いとされている食材でも食べ過ぎは禁物ということ。
ちなみにヨウ素含有量のトップは昆布類で200,000μg~。ひじきが45,000μg。わかめが8,500μg。
<参考サイト>
日本食品標準成分表(八訂)
昆布のとりすぎはNG!ヨウ素を含む食品について | – 隈病院
昆布を毎日食べていると甲状腺機能が低下する?
わかめを食べる国は?
わかめはみそ汁、酢の物など和食ではかかせない存在ですが、わかめを食べている国は少なく日本、韓国、北朝鮮くらいです。中国では日本への輸出用に養殖を行っていますが、わかめはほとんど食べないようです。
そういえば、和食以外で思い当たるのは韓国の「わかめスープ」ぐらい。洋食ではまったく思い当たりません。
わかめにはどんな種類があるの?
「三陸わかめ/南部わかめ」(東北・北海道)、「鳴門わかめ」(徳島県)、「房州わかめ」(千葉県安房地方)などの呼び方は産地による区分けで種類としては同じものです。
日本では、一般的な「わかめ」の他に「あおわかめ」と「ひろめ」という種類もあり、どちらも食用となりますが生産量は極めて少ないとされています。
保存方法による区分けでは「生わかめ」(採ったものをそのまま販売)、「塩蔵わかめ」(茹でてから塩漬けにしたもの)、「乾燥わかめ」の3種類です。
上記3種すべて食べたことがあるのですが、味や食感を意識したことはありませんでした。
そこで、今日は「生わかめ」、「塩蔵わかめ」、「乾燥わかめ」を同時に食べ比べてみることにしました。
生わかめ
これはいただいたものです。茹でていないので最初は褐色です。上のヒラヒラの部分はみそ汁や酢の物に使われます。下の部分は茎ワカメやメカブと呼ばれるもので、これは絶対に捨ててはいけません。生わかめを買う意味はこの部分にあると思っています。
左下は塩蔵わかめ。茹でたわかめを塩漬けにしたもので、おみやげ店などで販売されています。
右下は乾燥わかめ。これはどのスーパーでも1年中販売されていて日持ちします。




生わかめは茹でて使います。お湯が沸いたらわかめを入れます。入れた瞬間に緑色に変わります。まんべんなく緑色になったらすぐに冷水に晒します。この間数十秒、茹で過ぎると黒っぽくなりクタクタになってしまいます。
【左が茹でたわかめ右が生わかめ】
乾燥わかめは水で戻し下茹でします。塩蔵わかめは、塩を水で洗い流しでから多めの水に入れ塩抜きして軽く湯通しします。
乾燥わかめ・塩蔵わかめ・生わかめを食べ比べてみる
私が好きなわかめの食べ方はしゃぶしゃぶです。これは幼稚園のお絵描きの先生が教えてくれた食べ方です。
わかめをしゃぶしゃぶしたら、たっぷりの大根おろしと醤油と一緒に食べます。とても簡単でわかめの繊細な香りが味わえるのでオススメです。
しゃぶしゃぶと同じ位好きなのが「お刺し身わかめ」。茹でたわかめを冷やして生姜醤油で食べるのです。これに刺身が加われば最高のごちそうになります。
更に日本酒が加われば最強。やったことがない方は今すぐ試してみてください。
それでは、3種を食べ比べてみます。
一番弾力があるのが乾燥わかめ。ただ、プリプリ感や瑞々しさは感じません。塩蔵わかめと生わかめはほとんど差を感じません。生のほうが少しプリプリ感が強いように感じ、塩蔵は塩味を感じます。(塩抜きの時間次第で変わる)
順位をつけるとするなら1.生、2.塩蔵、3.乾燥です。生と塩蔵との違いはごくわずか。
スーパーで3種類あったとすると私は迷わず生を買います。味の差というよりめかぶや茎があるからです。
茹であがっためかぶはぬるぬるが強く包丁で刻むのは大変です。私はフードプロセッサーで刻みます。
あまり刻むと独特の食感がなくなってしまうので粒々を残すのがコツです。
この状態であれば冷凍しても大丈夫。食べる時は自然解凍します。
めかぶの食べ方
刻んだめかぶはポン酢や醤油で味付けをしてご飯のおかずになります。
納豆に混ぜる、味噌汁に入れるなど色々アレンジできますが、私が好きなのが麺類と合わせる食べ方。特に日本蕎麦との相性は抜群です。
今日は卵かけごはんに入れてみました。わかめの香りがとトロミ加わって日本人には堪らない味です。