伊勢海老(房州海老)【房州の食材】

2021年04月28日

伊勢海老(いせえび)/房州海老(ぼうしゅうえび)

 
南房総は海産物、野菜、果物など食材の宝庫として知られていますが、それらの食材の中でも頂点に君臨するのがアワビとイセエビではないでしょうか。
今回は伊勢海老を使って色々な料理を作ってみました。
 
料理を作る前にイセエビとは何なのか調べてみました。
 

イセエビとは

 
漢字:伊勢海老、伊勢蝦、鰝、学名:Panulirus japonicus。南房総で時折見かける『房州エビ』はイセエビのことですが、今一つ定着している感じはありません。千葉県の大原、太東、勝浦、御宿で水揚げされるものは『外房イセエビ』と呼ばれ千葉ブランド水産物に認定されています。
 
分布は茨城県、房総半島以南の太平洋沿岸、九州、台湾、朝鮮半島南部。千葉県は全国トップクラスの漁獲高で知られ、千葉県と三重県の両県で全国の40%以上を占めています。
 
イセエビはイセエビ科イセエビ属の大型のエビで体長は20cm~30cm、最大で40cmになります。イセエビ科のエビは全世界で60種余りあるようですが、日本で一般的なのはこのイセエビです。
少し形が似ているロブスターはイセエビ科ではなく、ザリガニ下目。イセエビはロブスターのように大きなハサミはありません。
 
南房総のイセエビ漁は8月から翌年5月までで、産卵期にあたる6月、7月は禁漁期間です。旬は8月から秋頃とされていますが、私には違いがわからず、いつ食べても美味しいと感じています。
イセエビ漁の様子忽戸漁港のイセエビ漁(ガナゾーを食す)
 
イセエビ科ではありませんが、セミエビ(写真左下)とウチワエビ(写真右下)も美味しいエビとして最近人気が出てきています。
セミエビウチワエビ

 

刺身

 
イセエビ料理は色々とありますが、私が一番好きなのは刺身です。プリプリとした食感、甘みを感じる身は極上の味わい。和牛の焼肉、アワビ、ウニ・・・美味しい料理は色々ありますが、その中でもトップクラスの味です。
伊勢海老のお造り
 

伊勢海老の昆布〆

 
イセエビを生で食べる方法を考えていて思いついたのが、昆布〆です。ナメロウも思い付きましたが、ちょっともったいない気がします。
今まで色々な店でイセエビを食べましたが、昆布〆を出している店は見たことがありません。ネットで「イセエビ昆布締め」で検索してみましたが、驚いたことに一件しかヒットしません。
 
そんな訳で自分で作ってみました。昆布の表面を日本酒で拭いて、イセエビをのせて冷蔵庫で2時間程度寝かせます。
食べてみるとイセエビの水分が抜け、昆布の旨味が身に浸透してネットリとした食感になっています。こんな美味いものが一般的に出回っていないのは不思議でなりません。これはおすすめです。
伊勢海老の昆布〆
 

伊勢海老の味噌汁

 
私は濃厚なエビミソを味わうには味噌汁が一番だと思っています。イセエビラーメンなどは塩味のものが多いのですが、塩味だと少々生臭さを感じることがあります。
ダシを味わいたい場合は水から。身を美味しく食べたい場合はお湯から作ります。時間が経つと生臭くなるので出来立てが一番です。
伊勢海老の味噌汁
 

伊勢海老の鬼殻焼き

 
この大きさのエビは通常リリースするのですが、エビ網にかかって死んでしまったものは市場に出さずに家庭で食べます。
腹部のオレンジ色の塊は伊勢海老の卵です。卵は最初は体の中にあり、これを内子と呼びます。下の写真のように外に出たものを外子と呼び、どちらも食べることができます。
 
卵の食べ方を調べてみましたが、鬼殻焼きしか載っていなかったので、単純に塩を振って焼いてみました。外子の食感は焼きたらこのようで味は伊勢海老の味。
イセエビの内子イセエビの鬼殻焼き

 

伊勢海老の一夜干し

 
これは通販で購入。とにかくウマいです。ネットで『伊勢海老の一夜干し』を見つけ、我慢できなくなり購入。ライバルである三重県から購入してしまいました。本当は千葉県のものを買いたかったのですが、干物はあれど一夜干しはありませんでした。しつこいようですが、とにかく一夜干しはウマいです。
伊勢海老の一夜干し
 

調理法

 
殻が硬く棘が鋭いので手を怪我しないように気おつけてください。普通の包丁では刃こぼれしたりするので、出刃包丁で叩き切ります。出刃包丁がない場合はキッチン鋏でも調理できます。
イセエビの頭を二に割るイセエビの胴体を二つに割る

 

伊勢海老のマヨチース焼き

 
マヨネーズに粉チーズを混ぜて、半分に切ったイセエビに塗ってオーブンやトースターで焼くだけ。
焼き目が香ばしいです。お好みでパセリを散らしたりレモンを添えたり色々とアレンジできます。
 
今思いついたのですが、マヨチーズにウニを入れてみたら最高にゴージャスな料理になると思います。
イセエビのマヨチーズ焼き
 

伊勢海老の具足煮

 
この料理を初めて食べるまで「イセエビを醤油や味噌で煮てしまうなんてもったいない」と思っていましたが、食べてみると美味しいのです。
ちなみに具足煮(ぐそくに)とはエビやカニなどを殻付きで煮て、殻を甲羅を鎧や甲冑(具足)に見立てて名付けられた料理のことだそうで伊勢海老だけに限らないそうです。
 
具足煮の作り方を調べてみると店によって千差万別で、その店独自の味があることが分かりました。白みそを入れたり、餡に片栗粉でトロミをつけたり色々あります。
今回は白みそを入れ、餡にトロミをつけてみました。
 

材料

・伊勢海老
・酒
・水
・醤油
・みりん
・白みそ(お好み)
・ユズ(お好み)
・水溶き片栗粉
 

作り方

伊勢海老は縦半分に割り、更に頭と胴体を切り離し4つに分けます。酒、水、みりん、白みそを煮立たせアルコール分を飛ばします。煮汁の中に最初に頭を入れます。最初に頭を入れるのはダシがよく出るからです。頭に火が通ったら尾の部分を入れでサッと煮ます。煮過ぎると固くパサパサになってしまいます。伊勢海老を鍋から出して煮汁に水溶き片栗粉を入れます。
皿に盛った伊勢海老に餡をかけて出来上がり。白髪ねぎはお好みです。
 
余った餡は濃厚なエビミソの旨味が溶け込み、ご飯にかけると最高に美味いのです。
イセエビの具足煮
 

ブイヤベース

 
パプリカ、アサリ、エビ、イセエビ、イカ、ムール貝・・・ありったけシーフードを入れてブイヤベースを作ってみました。
サフランは非常に高価なので自宅で栽培したものを使いました。
ブイヤベースの材料
 
シーフードの味が凝縮されています。
イセエビのブイヤベース
 

イセエビのパエリア

 
ブイヤベースを使って私の大好物であるパエリアを作ってみました。これは見かけも豪華で絶対に美味しいと思ったのですが・・・
とても不味いです!! 原因はエビが多すぎ、エビミソの味がクドイのです。
結局ネコにあげましたが、イカだけ食べてどこかへ行ってしまいました。
イセエビのパエリア
 

イセエビとイソッピのスンドゥブチゲ

 
スンドゥブチゲは韓国料理。豆板醤、豆乳、豆腐、イセエビ、マガニを使って作りました。見かけは美味しそうに見えませんが味は上々です。
どういう訳だか、豆板醤、豆乳、イセエビが合わさるとコーンスープのような味になります。
豆板醤は大きめのものを買って干し貝柱を入れておくと味に深みが出ます。
 
マガニは安房地方ではイソッピと呼ばれています。小さなカニであまり食べるところはありませんが、味噌汁に入れると最良のダシが出ます。
イセエビとイソッピのスンドゥブチゲ

詳細情報

名称

伊勢海老
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