鹿島神社【勝浦の古社】

2023年07月06日

鹿島神社(かしまじんじゃ)

勝浦市興津の「鹿島神社」は奈良時代創建の古社です。
境内はJR外房線「上総興津駅」より徒歩7分、宮前踏切前に鎮座。隣は日蓮宗の古刹妙覚寺です。

鹿島神社概要

【旧社格】村社
【祭神】經津主命(ふつぬしのみこと)/天兒屋根命(あめのこやねのみこと)
【祭礼】10月の第2日曜日
※実際に見学した訳ではありませんが、鹿島神社の神輿は「千貫神輿」と呼ばれる50人ほどの担ぎ手を必要とする大きなものです。彫刻も非常に精巧で一見の価値があります。「勝浦市興津 祭礼」で検索するとYouTubeで見ることができます。
【御朱印】不明
【由緒沿革】
 参考文献:夷隅郡誌/千葉県神社名鑑/房総の古社/南総の彫工師 初代後藤義光
 参考サイト:千葉県神社庁監修「神社検索隊!」鹿島神社
 
「神社検索隊」と「千葉県神社名鑑」を要約すると下記の通りとなります。しかし、これには幾つかの疑問点があります。

奈良時代の歌聖、山部赤人が奈良時代の天平十七年(754年)に下総の鹿島(疑問1)より勧請。本村(疑問2)中最古の歴史をもつ神社だが、火災による焼失後、江戸時代後期の文化年間(1804年~1830年)に再建。当初は弁天山(疑問3)に勧請されていたが、日厳上人が現地妙覚寺境内に移した(疑問4)ものである。

明治三十九年勅令第九十六號を以て神饌幣帛料供進神社に列せられる。
 
疑問1:下総鹿島より勧請とは、現在の茨城県鹿嶋市の鹿島神宮のことか?
疑問2:本村とは何時代の何村のことか? 過去に行川アイランドから鵜原周辺を「夷隅郡興津町」と呼んでいたが、「興津村」は検索しても一致するものがない。興津郡誌に『興津町興津土井口の高丘に鎮座す』とあるが土井口橋という橋が鹿島神社の北西100m付近にある。現在の妙覚寺の裏山のことなのか?
疑問3:弁天山とはどこなのか? 現在「弁天山」という地名は存在しない。周辺に「弁天」という名称は見当たらない。
疑問4:日厳上人が現地妙覚寺境内に移したとあるが、日蓮正宗第42世「日厳上人」(1796年~1798年)のことか?
興津郡誌に『寛永年間(1624年~1644年)祝融の禍災に罹り、文化年間(1804年~1818年)再建せり、これ即ち現在の社殿にして・・・』とあります。
 
以上のように細かな疑問点はありますが、今まで房総南部の多くの神社を調べてきて、奈良時代創建というのは相当に古く、ほとんど記憶にありません。
 
私の記憶ではかつての一宮である安房神社が現在の地へ移ったのが養老元年(717年)です。
「房総の古社」という書籍で調べても安房国/上総国で奈良時代以前に創建されたものはほとんど見当たりません。
 
そもそも、ここまで時代を遡るとはっきりした資料はあまり残っていないようです。


境内案内

境内入口に常夜灯、鳥居があり20mほどの参道と駐車場があります。参道突き当りは忠魂碑と常夜灯があり、その先は一段高くなっています。
 
上の段には狛犬、手水石があり、奥に拝殿、本殿が鎮座しています。
 

入口付近

 
宮前踏切から10mほど先は参道入口です。

【宮前踏切】
宮前踏切
【妙覚寺】
妙覚寺の境内

常夜灯

文字は彫ってありますが読み取ることはできません。苔を落とせば読めるかも知れません。
 

境内入口の常夜灯(左)
境内入口の常夜灯(右)

鳥居

常夜灯の後ろの鳥居は大正十年(1921年)建立。形状は靖国鳥居です。
鹿島神社の鳥居

常夜灯

少し珍しい形の常夜灯。奉納は江戸時代後期の文政六年(1809年)六月吉日。
表側には「奉納鹿島宮」と刻まれています。
 

石燈篭(左)
石燈篭(右)

忠魂碑

常夜灯右後ろにある大型の忠魂碑。
元師陸軍大将正二位・・・と彫られています。
忠魂碑

狛犬

奉納者の文字は彫られていますが、ほとんど読み取ることができません。年代も不明です。
 

狛犬(左)
狛犬(右)

手水舎/手水石

手水舎と手水石

拝殿

拝殿・本殿の創建や再建は調べても分かりません。
懸魚(けぎょ)には飛龍、向拝の花鳥図など見事な彫刻です。
 
彫工師は誰なのか? 裏も見ても分かりません。
後藤義光? 波の伊八?も頭に浮かびましたが、作風が違います。向拝の花鳥図は初めて見るタイプのものです。
鹿島神社の拝殿

向拝の彫刻

家に帰って調べて判明しました。作者はまさかの初代後藤義光です。
参考:南総の彫工師 初代後藤義光
 
本によると製作年は明治十年代(推定)とあるので義光が60歳代~70歳代の円熟期の作品です。
やはり初代後藤義光の作品としては珍しいものとあります。
 
蟇股(かえるまた)の「波に飛龍」、「松に鷹」、「柳に鷲」・・・
手挟みの「松に鶴」、「波に蓑亀」など非常に精巧に仕上がっています。

【向拝の格天井彫刻「花鳥図」】

後藤義光の彫刻

木鼻の彫刻

木鼻の彫刻は「振り向きの獅子」です。
 

木鼻(左)
木鼻(右)

本殿

本殿の横にも鳥居が建っています。この先は行きませんでしたが、神社があるようです。
 

本殿
妙覚寺への鳥居

Webサイト/SNS

【ホームページ】千葉県神社庁監修「神社検索隊!」鹿島神社(カシマジンジャ)

詳細情報

名称

鹿島神社

住所

〒299-5245 千葉県勝浦市興津1181-1

お問い合わせ先

0470-66-0382

※スマートフォンの方は電話番号をタップで直接電話できますので、営業時間や定休日をご確認下さい。
また掲載されている情報はこの記事を掲載した当時の情報ですので、古い場合がございます。
お問い合わせの際は「『房総タウン』を見た」とお伝えください。

駐車場

あり

アクセス

JR外房線「上総興津駅」より約550m 徒歩約7分
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