十王堂(じゅうおうどう)
安房郡鋸南町上佐久間にある『十王堂』には十王坐像が安置されています。この十体の像は室町中期の永享八年(1436年)から十二年(1440年)の墨書があり、制作年代が明らかで十体揃っていることから鋸南町の文化財に指定されています。
佐久間十王堂は鎌倉時代の創建といわれ、当地方は十王信仰の中心として栄え、佐久間の祭礼の際には地域の人々がここ十王堂へお参りする風習が残っています。
ご開帳は毎年7月16日と8月15、16日。
十王信仰とは
仏教の世界では、人をはじめ生きとし生けるもの(衆生)は死ぬと初七日から七日ごとに十王の裁きを受け、その判決によって六道(天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄)のいづれかへ行くとされ、これを十王信仰と呼びます。
初七日 秦広王(しんこうおう) :不動明王
二七日 初江王(しょこうおう) :釈迦如来
三七日 宋帝王(そうていおう) :文殊菩薩
四七日 五官王(ごかんおう) :普賢菩薩
五七日 閻魔王(えんまおう) :地蔵菩薩
六七日 変成王(へんじょうおう):弥勒菩薩
七七日 泰山王(たいざんおう) :薬師如来
百か日 平等王(びょうどうおう):観音菩薩
一周忌 都市王(としおう) :勢至菩薩
三回忌 五道転輪王(ごどうてんりんおう):阿弥陀如来
十王堂の境内は、明治二十二年(1889年)四月設立、平成20年(2008年)に閉校した佐久間小学校の跡地です。
十王堂の額は千葉県知事を五期務めた沼田武(1922年12月21日~2011年11月26日 88歳没)さんの書です。
お堂の前には大きな銀杏の木があります。
銀杏の木は大きくなると幹が乳のように垂れ下がり、これを「乳根」、「乳頭」、「乳柱」などと呼びます。