熊野神社(くまのじんじゃ)
鴨川市横渚の熊野神社(通称:権現さま)は、伊邪那岐命、速玉男命、泉津事解男命の三神を祀る神社です。隣りの神蔵寺はかつての別当寺(神社を管理する寺)です。
熊野神社概要
【祭神】以下三柱を祀ります。
・伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
・速玉男命(はやたまおのみこと)
・泉津事解男命(よもつことさかおのみこと)
【祭礼】鴨川地区合同祭、9月第2土曜・日曜
鴨川地区の神社7社による合同祭。山車2台、屋台3台、担ぎ屋台(鴨川市指定文化財)1台、神輿7基が参加します。
・大浦八雲神社(神輿・屋台・担ぎ屋台)
・白幡神社(神輿・屋台)
・日枝神社(神輿・山車)
・熊野神社(神輿・屋台)
・諏訪神社(神輿・山車)
・横渚八雲神社(神輿・山車)
・八幡神社(神輿・屋台)
・厳島神社(神輿)
【御朱印】不明
【由緒・沿革】(参考文献:鴨川市史/鴨川町のあゆみ)
「鴨川町史」と「神社名鑑」によると、創建は南北朝時代の貞和(じょうわ)四年(1348年)、全国で3,000社ある熊野神社の総本宮、紀伊国(現和歌山県)熊野大社の分霊を迎えて奉祀したとあります。初めは長狭郡一の宮総権現とされていました。永禄年中(1558~1569)年に里見義弘夫人の祈願所よなり、神領三十石が寄進されました。しかし、里見時代の寺社領を書いた「安房国寺社領帳」には、神領三十石が寄進されたことについての記載はありません。
境内案内
境内は入口に鳥居、鳥居の左奥に屋台小屋、神輿小屋、石碑があり、右奥には手水舎があります。更に奥へ進むと。一対の常夜灯、狛犬があり、最後に拝殿と本殿があります。車は拝殿の横に停めることができます。
鳥居
形状は明神鳥居(みょうじんとりい)。年代は読み取れません。
石碑
鳥居の左側には比較的大型の石碑が2基あります。文字を読み取るのは難しいのですが、左側は日露戦争(1904年~1905年)記念碑と彫られているようです。
手水舎/手水石
鳥居の右奥の手水舎。手水石は最近のもので、日本橋で製造されたようですが、年代は分かりませんでした。
常夜灯
常夜灯はそれなりの年代を経ていると思われます。風化が進んでいて年代は分かりません。
狛犬
比較的新しい狛犬ですが、年代はは分かりませんでした。
拝殿
写真撮影に失敗してしまいましたが、拝殿の向拝には後藤義光の鳳凰、龍、獅子の彫刻があります。
龍の彫刻の裏側には北朝夷村 彫工 後藤利兵エ 橘義光とあります。
後藤利兵衛橘義光(文化12年(1815年)生~明治35年(1902年))は波の伊八、武田石翁とともに「安房の三名工」呼ばれ、神社やお寺に多くの作品を残しています。
本殿
右側が拝殿、左側が本殿。拝殿とは参拝するための場所であり、本殿とは、御神体(祭神)が祀られている場所です。
本殿の屋根は流れ造りです。流れ造りは神社で最も多く見られる屋根の形状で、切妻造りの屋根の前面が長く延びて向拝となっている屋根のことです。
本殿向拝の彫刻は見事なものですが、本殿に立ち入ることができず、作者の名前を確認することはできませんでした。