玉前神社(たまさきじんじゃ)
長生郡一宮町の「玉前神社」は、「延喜式神名帳」の上総国の部で首位に記載されている千葉県を代表する古社であり、黒漆の社殿が印象的で参拝客の多い神社です。
アクセスは、首都圏中央連絡自動車道路「茂原長南IC」より約20分、JR外房線「上総一宮駅」から徒歩約7分。
一宮町は元々玉前神社の門前町として発達し。中世~近世は城下町として栄え、周辺には現在でも古い建物が多く残される風情ある街並みとなっています。
玉前神社は千葉県有数のパワースポットということで詳しく調べてみました。
参考サイト・文献
・房総の古社(菱沼勇 梅田義彦)
・長生郡郷土誌(長生郡教育会)
・公式Webサイト上総一之宮 玉前神社
<玉前神社概要>
【旧社格】上総国一の宮/名神大社(みょうじんたいしゃ)注1
【祭神】
主祭神:玉依姫命(たまよりひめのみこと)海の女神
相殿神:後述
【祭礼】
・9月8日~14日 上総十二社祭り(上総裸祭り)
千葉県公式サイト上総十二社祭
※上記の他に神事・祭典多数。詳しくは玉前神社公式サイトをご覧ください。
【文化財】
・上総神楽(かずさかぐら) 千葉県指定無形民俗文化財
・上総十二社祭り(かずさじゅうにしゃまつり) 千葉県指定 無形民俗文化財
・社殿と棟札 千葉県指定有形文化財
・里見義頼寄進状 一宮町指定文化財 有形古文書
・梅樹双雀鏡 (ばいじゅそうじゃくきょう) 国指定重要文化財 有形工芸品
・松喰鶴鏡 (まつくいつるかがみ) 一宮町指定重要文化財 有形工芸品
・蓬莱鏡 (ほうらいきょう) 一宮町指定重要文化財 有形工芸品
・イヌマキの群生 一宮町指定文化財 天然記念物
・芭蕉の句碑 一宮町指定文化財 記念物史跡
【由緒・沿革】神社詳細にて記述
注1:名神大社とは
上総国五社(玉前神社・橘神社・島穴神社・姉崎神社・飫富神社)の中で名神大社は玉前神社のみであり、房総三国(安房・上総・下総)でいえば、当社以外では香取神宮と安房坐神社(安房神社)の三社のみ。
<玉前神社詳細>
由緒・沿革
室町時代の永禄年間(1558年~1570年)戦火により社殿、宝物、文書の多くを焼失して創建や由来は不明ですが、平安時代の延長5年(927年)にまとめられた「延喜式神名帳」に当社の記載が残されていることから平安時代以前に創建されたことは間違いないようです。
平安時代の『日本三代実録』に玉前神社は、貞観(じょうがん)十年には既に従四位(じゅうしい)下に昇叙されていたとあり、以降は以下の通りです。
・元慶(がんぎょう)元年(877年)正四位下
・同八年(884年)正四位上
・天正十年(1582年)里見義頼より神田寄進
・同十九年(1591年)徳川家康より神田寄進
・明治四年(1871年)国幣中社
<境内案内>
境内入口の鳥居から右回りに説明します。
1.鳥居
2.五葉松(ごようまつ)
3.御神水
4.手水舎
5.さざれ石
6.子宝・子授けイチョウ
7.神楽殿
8.招魂殿
9.拝殿
10.拝殿と本殿
11.末社十二神社
12.西山(はだしの道)
13.松尾芭蕉の句碑
14.授与所
15.三峰神社/稲荷神社
1.鳥居
境内入口の朱塗りの鳥居。形状は両部鳥居、年代は見当たりません。
2.五葉松(ごようまつ)
推定樹齢は150年。五葉の松葉と四方に大きく広がった四方正面の姿。冬でも青々とした葉をつけているため不老長寿の象徴として縁起の良いものとされています。
3.御神水
境内で湧いているの御神水。24時間無料で拝受することができます。拝受することにより心身を祓い清め運気を向上させると言われています。
4.手水舎
重厚感のある手水舎。手水石は平成元年四月十三日奉納。
5.さざれ石
『君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて・・・』
君が代の歌詞にある「さざれ石」。さざれ石は細かな石のことで、細かな石が集まって固まり巌となります。
石碑の書は当時の内閣総理大臣「橋本龍太郎」揮毫。
6.子宝・子授けイチョウ
雄株(右)⇒雌株(左)⇒こどもの順に両手で触れて子宝を祈願します。
7.神楽殿
神楽殿は、御神楽を舞うための舞台。正月(初祈祷祭)、4月(春季祭)、7月(宮薙祭)、9月(例祭)、11月(氏子太々祭)には、千葉県指定文化財の「上総神楽」が奉納されます。
8.招魂殿
大正十二年(1923年)建立。日清・日露戦争(1894年-1905年)~第二次世界大戦(1939年~1945年)までの一宮出身325柱の戦没者を祀られており、例祭は4月13日に執り行われます。
9.拝殿
社殿と棟札は平成8年3月22日 千葉県有形文化財(建造物)に指定されました。
千葉県ホームページ玉前神社社殿
本殿と拝殿を幣殿で繋げた複合社殿(権現造)。棟札より貞享( じょうきょう )4年(1688年)3月に本殿が上棟、8月に拝殿と幣殿が上棟したことが分かっています。
私は今までに2000社ほどの神社を巡りましたが「黒漆塗り」の神社は初めてお目にかかりました。
どの位珍しいのか? 「黒漆塗りの神社」で検索してみました。
GoogleのAIによる回答は玉前神社のみ。他の自然検索は群馬県富岡市の「妙義神社」、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮の境内にある「白旗神社」、静岡県静岡市の「静岡浅間神社」など由緒ある神社ばかりです。
以上のように黒漆塗りの神社は全国的に見ても珍しいようです。
10.拝殿と本殿
左から拝殿、幣殿、本殿。
11.末社十二神社
本殿裏側の「末社十二神社」。旧鎮座地と祭神は以下の通り。
(1)宮の後 愛宕神社 阿愚突智命
(2)神屋内 八幡神社 誉田別命
(3)上宿 三島神社 事代主命
(4)上宿 白山神社 白山比売命
(5)下村 日枝神社 大山咋命
(6)柚の木 山神社 大山祇命
(7)細田 浅間神社 木花開耶姫命/八街比古命
(8)道祖神 塞神社 八街比古命/久那斗命
(9)内宿 蔵王神社 大物主命
(10)関東台 粟島神社 少彦名命
(11)陣屋 熊野神社 櫛御毛野命
(12)下の原 水神社 罔象女命
毎年8日~14日に開催される「上総十二社祭り」は、大同2年(807年)に始まったと伝わる大きな祭りで千葉県無形民俗文化財(平成15年3月28日)に指定されています。
千葉県ホームページ上総十二社祭り
12.西山(はだしの道)
一周廻りて無垢となり 二周廻りて気を入れて 三周廻りて気を満たす
靴と靴下を脱いで三周廻ります。
私は一周もしていません。しかし、今思い返すとちゃんとやっておけばよかったと後悔しています。3年ほど前から糖尿病を患い脚の痺れが治らないからです。
13.松尾芭蕉の句碑
社殿西側に一宮町指定文化財 記念物史跡の松尾芭蕉の句が建てられています。
『たかき屋にの 御製の有難を今も猶 叡慮にて賑ふたみや庭かまど はせを』の芭蕉の句と
この句碑は、上総千町村 (現茂原市千町)の俳人起名庵金波(河野五郎兵衛)一門によって 建てらたものといわれています。
14.授与所
ご朱印、御守り、お札、破魔矢、絵馬などは授与所で拝受できます。
15.三峯神社/稲荷神社
向かって左が三峯神社、右が稲荷神社。
秩父多摩国立公園の雲取山、白岩山、妙法嶽の三山を三峯山と呼び日本武尊(西暦72年~114年)が伊弉冉命を勧請し仮宮を造営したのが三峯神社の始まりとされています。
この三峯神社は、昭和四十四年に三峯講一同により安置されたものです。
公式Webサイト/SNS
年中行事などは下記でご確認ください。
【Webサイト】上総一之宮 玉前神社
【特設サイト】千葉県| 上総國一之宮玉前神社 特設ウエブサイト
【X】上総國一之宮 玉前神社
【Instagram】【公式】上総國一之宮 玉前神社(たまさきじんじゃ)
【Facebook】玉前神社
詳細情報
名称
住所
お問い合わせ先
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また掲載されている情報はこの記事を掲載した当時の情報ですので、古い場合がございます。
お問い合わせの際は「『房総タウン』を見た」とお伝えください。
定休日
営業時間
駐車場
※無料、大型バス駐車可
アクセス
【車】
・九十九里有料道路「一宮IC」より約3.2km 車で約6分
・首都圏中央連絡自動車道路「茂原長南IC」より約14.6km 車で約21分