

笠森観音(かさもりかんのん)
長生郡長南町の「笠森観音」は、国指定重要文化財の「笠森観音堂」の写真がSNSで人気の寺です。今日は観音堂を中心に他の人気ポイントを写真とともに紹介します。
境内は圏央道の「長南IC」より車で約8分、国道409号線の太平洋クラブ市原コースと長南カントリークラブの中間地点です。
笠森観音概要
【正式名称】大悲山 楠光院 笠森寺(たいひざん なんこういん かさもりじ)
【山号】大悲山
【院号】楠光院
【宗派】天台宗
【寺格】別格大本山(総本山に次ぐ地位を持つ寺院)
【札所】坂東三十三観音第三十一番札所
【本尊】十一面観世音菩薩
【参拝料】300円(2025年3月)
【年中行事】
・大般若経転読会 縁日 毎月17日・18日 11:00~
・花まつり 4月8日
・本尊御開帳 丑年/午年 10月17日~11月18日
・除夜の鐘/除夜法要 12月31日 23:30~
・修正会(しゅしょうえ) 1月1日 午前2時
・節分会追儺式(せつぶんえついなしき)2月3日 13:00~
【寺宝/文化財】
・千葉県Webサイト笠森寺観音堂
国指定重要文化財(建造物)明治41年8月1日
・千葉県Webサイト笠森寺鋳銅唐草文釣燈籠
国指定重要文化財(工芸品)昭和34年6月27日 千葉県立中央博物館保管
・千葉県Webサイト笠森寺自然林
国指定天然記念物 昭和45年1月23日
・千葉県Webサイ鋳銅孔雀文磬(応永三十三年在銘)
千葉県指定文化財(工芸品)昭和36年6月9日 千葉県立中央博物館保管
・千葉県Webサイ鋳銅鰐口(応永三十四年在銘)
千葉県指定文化財(工芸品)昭和36年6月9日 千葉県立中央博物館保管
・長南町Webサイ笠森寺本坊表門
長南町指定文化財 元禄十年(1697年)建立
【創建・開基】
「長生郡郷土誌」によると創建・開基は次の通り。
『桓武天皇の延暦三年(784年)五月、僧最澄が此地来り、一夜山中に光輝を放つものあるを見、怪みて之を験すれは、即ち観世音菩薩の像なり、是に於いて自ら楠樹を以って丈七尺三寸の十一面観世音菩を刻し、前の観世音像を其の腹中に安置せりと。』
【沿革】
・長元元年(1028年)勅願により山上に四方掛造の本堂を建築し、同年十一月八日に本尊を奉る。(注1)
・建長五年(1253年)日蓮上人が参籠
・鎌倉時代後期(1300年)「鋳銅唐草文釣燈籠」(国指定文化財)が奉納される。
・応永三十三年(1426年)「鋳銅孔雀文磬」(千葉県指定文化財)が奉納される。
・応永三十四年(1427年)「鋳銅鰐口」(千葉県指定文化財)が奉納される。
・天和二年(1682年)松尾芭蕉が句を奉納
・明治四十一年(1908年)「笠森寺観音堂」か国宝に指定され、昭和四十一年に国重要文化財に指定される。
・昭和三十三年(1958年)観音堂を解体し復元修理。
・昭和四十五年(1970年)観音山が国天然記念物に指定される。
注1)長生郡郷土誌や口伝では長元元年建立とされていてほとんどのサイトでもこのように書いてあります。ところが千葉県サイトでは「観音堂は後一条天皇の勅願で長元元年(1028)に建立されたと伝えられていたが、昭和35年(1960)の修理に伴う調査の結果、天正、文禄などの墨書銘が発見され、現在の建物の建立は桃山時代であることが判明した」とあります。
※参考文献・サイト
・長生郡郷土誌(長生郡教育委員会)
・笠森観音 公式サイト
境内案内
<見どころ>
日本で唯一の四方懸造りの「観音堂」が一番の見どころで、絶好の撮影スポット。SNSでも観音堂の写真が多く拡散されています。
丘の上に建つ「鐘楼堂」も見逃せない撮影ポイント。境内全体が見渡せます。
また、境内の観音山は暖帯性常緑広葉樹の巨木が茂り「笠森寺自然林」として国天然記念物に指定されています。
参道入口から順番に説明すると、根元が一体化した「三本杉」は樹齢約800年。穴の空いた「子授楠」は特に人気。他には上総地方最古といわれる「松尾芭蕉の句碑」など。頂上にある「縁起屋古壺・くろねこCafe」は猫グッズが人気です。
車は無料の町営駐車場に50台停められます。




境内案内図
参道入口に案内図があります。
駐車場から観音堂までは石段(女人坂)となっています。それほで急ではないので、撮影をしながらゆっくり歩いても10分で観音堂に到着しました。
三本杉
子授楠/子授観音
楠の大木の穴をくぐると子に恵まれるという言い伝えがあります。しばらく撮影していましたが、撮影する人は多いけれど、くぐろうとする人は一人も現れませんでした。
大人がやっとくぐれる大きさで穴の先には子授観音が見えます。




松尾芭蕉の句碑
上総や安房に松尾芭蕉の句碑は多く残されていますが、これは上総地方最古の松尾芭蕉(1644年~1694年)です。
この三基の句碑は笠森出身の俳僧で渡辺雲裡坊(うんりぼう)の門人である五老峰故貝(ごろうほうこばい)が、江戸時代の安永六年(1777年)に雲裡坊の十七回忌に芭蕉・支考・雲裡坊の三代の師の報いるために建立したものです。
右から
獅子庵蓮二(ししあんれんじ)
「方枝に 脈や通ひて 梅の花」
松尾芭蕉
「五月雨に この笠森を さしもぐさ」
義仲雲裏(ぎちゅうじうんり)
「すえられて 尻の落ち着く 瓢(ひさご)かな」
二天門
笠森寺の境内には二天門が二カ所あります。一つ目は観音堂手前にあり(下の写真)もう一つは観音堂の先にあります。
手前には風神・雷神・奪衣婆(だつえば)・閻魔大王が祀られています。観音堂の先の方は行ってはいませんが仁王像が祀られてるようです。
像の風合いからしてかなりの年月を経ていると思われます。書籍や複数のサイトを散々調べましたが、建立年を見つけることはできませんでした。




奪衣婆は、三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼です。
観音堂
笠森観音の写真を初めて見た時「清水の舞台」に似ていると思いました。どちらも岩の上に建てられ、釘を使わず木材を組み合わせた懸造りで「天空の寺院」と呼ばれています。
清水寺は懸造り(舞台造り)と呼ばれるののに対し、笠森観音は四方の長い柱で支える「四方懸造り」とうい工法。具体的な違いについてはいくら調べてもはっきりとは理解できていません。
笠森観音の「四方懸造り」は、日本で唯一の工法ということで国重要文化財に指定されています。
下の浮世絵は二代歌川広重(1826~1869)「諸国名所百選」の中の「上総笠盛寺岩作り観音」です。(安政6年作)
かなりデフォルメされていますが、崖の上に建つ笠森観音の特徴を表していて、昔から有名であったようです。
現在でもSNSで紹介されているのは、この角度から撮影したものが一番多いです。
ところで、笠森観音の本堂はどこにあるのでしょうか?
「笠森観音 本堂」などで散々検索してみましたが、全く検索できません。AI(Google Gemini)に尋ねてみると「本堂は観音堂と複数のサイトに明記されている」とあります。
更にしつこく「明記されているサイトを教えてください」と聞いてみると2つのサイトを提示されました。ところが、この2つをくまなく検索しても見つけることはできません。
そこで、「長生郡郷土誌」を読み返してみると、「山上の丘に四方崖造の本堂を建築し、同年十一月八日本尊を遷し奉れり」とあります。
観音堂に本尊に十一面観音が安置されて、他に本堂らしき建物がないので大体の見当はついていたのですが、これでスッキリしました。
観音堂は上へ上がることができます。階段の入口で靴を脱ぎ受付で拝観料を支払います。
一番上は一周することができ、周囲を見渡すことができます。
※観音堂内部は撮影禁止です。








ご朱印
観音堂の受付でご朱印を拝受しました。料金は300円でした。
六角堂(子育て地蔵尊)
二天門に脇の朱塗りの建物が六角堂。扁額に「子育て地蔵尊」とあります。
周囲に案内板は無く、ネットに説明も見つけられないので創建や由緒は不明です。
鐘楼堂
六角堂の先の丘の上にあります。ここは、観音堂や境内が見渡せるイチオシの撮影スポット。鐘を突くこともできるので笠森寺に来たならここに立ち寄ってみてください。
なお、六角堂同様詳しいことは不明です。




笠森熊野神社
二天門から女坂へ向かう途中に朱塗りの鳥居が建っているので立ち寄ってみました。
以下、「千葉県神社名鑑」参照
【祭神】素戔嗚命
【旧社格】村社
【創建】平安時代中期の長元元年(1028年)笠森観音堂建立に際して大工が建て、紀伊の熊野神社から分霊したと伝わります。




公式Webサイト/SNS
※お寺の最新情報やフローは下記より。
【ホームページ】笠森観音
【Instagram】笠森観音 (@kasamorikannon)
【Facebook】笠森観音
詳細情報
名称
住所
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駐車場
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