うつぼ(ナマダ)を釣って食う【房州の食材】

2021年02月03日

5年位前の正月、千倉の千田港に釣りに行った時のこと。その日は開始からアジが入れ食いで竿を入れて10秒もしないうちにアジが食ってきます。しかも全部30cmクラスの良型。3人で100尾は釣ったでしょうか。
喜んで途中でビクを上げてみるとアジが10尾くらいしかいません。そしてビクの中を見るとアジの頭だけが3つ残っています。ビクには大きな穴が・・・海の中を覗いてみると1m位の大きなウツボがウジャウジャいるのです。頭にきてウツボを釣ってやろうと2号のハリスで釣ろうとしましたが、一瞬で嚙み切られてしまいます。どうしても釣り上げてやろうと、持ち合わせの一番太い5号を2本撚りにしてみましたが結果は同じでウツボを釣ることはできませんでした。
 
今日は前回のリベンジです。私以外にウツボを狙っている釣り人なんて見たことがありません。仕掛けは錘10号、ワイヤーハリス、道糸6号と準備万端。エサはサバの塩漬けの切り身。竿はちょい投げ用の安いグラスロッドを今日のために購入。カーボンの竿は反発力が強すぎて食い込みが悪いのでグラスロッドの方が向いています。
 
エサは海底から50cm位上にくるように調整して第1投。

【千田港】

千田港
 
スーパーで買った塩サバに塩を追加し切り身にしました。
サバの切り身
 
釣りを始めるとすぐに青サギが近づいてきました。青サギはペリカンの仲間で大型の鳥です。1m位の距離を保ちながらずっとそばにいます。
ずっと傍にいるアオサギ
 
サバをあげてみると喜んで食べています。いくらでも食べるので途中であげるのを止めましたが、3時間以上横にいました。かなり辛抱強い鳥です。
サバの切り身を食べるアオサギ
 
開始して5分でアタリがありましたが、食い込みが悪く逃げられてしまいました。その20分後に釣れたのがこれです。釣った感触は、ただ重いだけでヌラヌラとしています。針は完全に飲み込んでいるのでそのままクーラーボックスに入れました。
 
釣りを終えて、千田港前のえびす家でラーメンを食べます。釣りの後のラーメンは格別です。
釣れたウツボ
 

ウツボ(鱓)とは

ウツボはウナギ目ウツボ科の魚で房州ではナマダと呼びます。歯が鋭く顎の力が強いので噛みつかれると大ケガをします。食材としてはメジャーではありませんが、千葉県の外房、伊豆、紀伊半島、四国などでは食用にされてきました。鮮魚店やスーパーで見かけることはなく、おみやげ店で干物として販売されています。味の方はどうなのでしょう?ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑によると、★★★★非常に美味。タタキは「好みの野菜とポン酢で食べるが、ゼラチン質の皮の食感がよく呈味性分からの甘みを感じる。一度食べたら病みつきになるうまさ」とあります。
 
家に帰って捌いてみます。驚いたことに釣ってから4時間もクーラーに入っていたのにまだ生きています。ウツボは皮膚呼吸ができるそうで生命力の強い魚です。表面のヌメリが強いので塩を振ってタワシでこすります。
頭を落とした後、飲み込んだ針を取ろうとしたら何と頭だけなのに噛みつかれました。少し動かすと一層強く噛んでくるのでとても痛いのです!結局スプーンの柄をねじ込んで口を開けましたがこれはかなりヤバい魚です。
 
生きているので捌くのが難しいです。ウナギやアナゴのように目打ちを使った方がいいかもしれません。四苦八苦しながら捌いたので身が凸凹になってしまいました。
ウツボは小骨がすごいようなので指で骨の位置を確かめましたが、普通の魚と違って骨の位置がさっぱり分かりません。骨抜きも使えません。
ウツボを開く
 

から揚げ

もう面倒なのでぶつ切りにして唐揚げにしてみました。骨が多いので最初は170度でじっくりと、二度目は180度の高温で二度揚げしてみました。これで骨まで揚がっていると思いました。
食べてみると身はふんわりとして美味いです。しかし、骨は固くそのまま食べられません。しかも骨の入り方が複雑なので食べてから骨を出すしかありません。
うつぼのから揚げ
 

煮魚

捌く時に疲れてしまったので残りは全部煮魚にしてしてしまいました。ウツボの味が分かるように薄味にします。一口食べてみると薄味にしたことが裏目に出てしまいました。何か独特の匂いがあります。これは濃い味付けの方が向いています。翌日ネコにあげようと思って冷蔵庫に入れました。
 
翌日になると煮汁はすべてニコゴリとなっています。ウツボの皮は大変コラーゲンが多く女性におすすめです。
ネコにあげる前にニコゴリと皮を食べてみました。美味い!美味すぎですちょっと他に例えるものが見当たりませんが、皮のプルプルとした触感が堪りません。頭の部分の皮も全部剥いで食べてしまいました。残ったのは骨だけでネコの分はなくなってしまいました。
 
皮の部分は、茹でてポン酢で和えたり、焼き鳥のように炭火で焼いてみたり、色々と調理法がありそうです。
ウツボは簡単に釣れるので、また行きたいと思います。
うつぼの煮物
 

相浜漁港のナマダ(うつぼ)漁

 
館山市の相浜漁港では冬になるとナマダ漁が始まります。港の船揚げ場にはナマダの開きがズラリと並びます。この開きは干物として周辺の干物店やおみやげ店で販売されます。
相浜港のうつぼの干物(表面)相浜港のうつぼの干物(裏面)

 
うつぼを食べてみたいけど、自分で釣ったり料理したりするのは面倒という方におすすめなのが、館山市布良の「相浜亭」。冬になると名物の「うつぼ丼」が食べられます。うつぼは干物として販売されているのはよく見かけますが、料理店で提供されるのは珍しく、私が知っているのは相浜亭だけです。
 
相浜亭の料理とメニュー
ウツボ天丼
 

うつぼとイセエビとタコの関係

 
うつぼとイセエビとタコの関係を図にすると下のようになります。
ウツボはタコが大好物、タコはイセエビが大好物、ウツボは何故かイセエビを食べません。イセエビはウツボの近くにいるとタコが寄ってこない。うつぼはイセエビが近くにいるとタコが寄ってくるので、Win-Winの関係(共存関係)なのです。

うつぼとイセエビとタコの関係図

詳細情報

名称

千田港

住所

〒295-0025 千葉県南房総市千倉町千田861-1

駐車場

あり

アクセス

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