六軒町(ろっけんちょう)のサイカチの木
残念なお知らせですが、皆さんに愛されてきたサイカチの木が2019年9月の台風により倒れてしまいました。
<2019年9月11日撮影>
館山市では、倒れた木を現状のまま保存することを検討しましたが、最終的に「現状のままの樹形を維持しながら保護することは難しく文化財の指定解除はやむお得ない」と館山市文化財審議会(令和2年2月21日開催)の答申を受けて、3月19日の定例教育委員会で議決し、同日指定解除されました。
倒れたサイカチの木が気になっていて約半年後に撮影に行ってみると新芽が出ていました。もう何年も前の話になりますが、アスファルトの間に生える「ド根性大根」というのが話題となりましたが、これはそのサイカチ版ですね。
台風で倒れる前の姿
館山市の六軒町にはサイカチの巨木があります。この木は形状が優れ、関東大震災から地域の人々を救ったという伝承があることから、「六軒町のサイカチの木」として平成26年2月26日に館山市の天然記念物に指定されました。
【形状・寸法】
樹高 7m82cm
主幹胸高(1.2m)周囲 3m93cm
枝下高 2m60cm
根元高20cmの周囲 4m93cm
枝張 東2.20m、西4.70m、南2.43m、北1.80m
【所有者】個人
樹高は約8mでそれほど高くはありませんが、樹齢は1000年と言われ幹の太さと形は迫力があります。根本の方には顔のような形をしたコブがあります。
木の大半は道路に露出していますが、所有者を代表とした「サイカチの木を守る会」により保護されています。
葉っぱはマメ科特有の形状で藤の木の葉に似ています。
幹の内部は落雷によって出来たと伝えられる空洞(樹洞)があり、内部が炭化して木の腐食を防いでいます。
YouTube サイカチの詩(うた)
作曲・編曲:鈴木直己 うた:喜多見ちよ
サイカチの木とは
マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の落葉高木です。日本の固有種で別名はカワラフジノキ。漢字では皁莢、梍と書きます。本州、四国、九州などに自生します。
木材は建築、家具、薪炭などに利用され、実は去痰薬、利尿薬として用いられます。また、サポニンを多く含み、手で揉むを泡が出るので石鹸としても利用されてきました。
若葉は食用とすることもあるようで、天麩羅などに向いているそうです。
サイカチの幹はからは、クヌギ、コナラと同様に樹液が出ることからカブトムシやクワガタがよく集るため、カブトムシのことを「サイカチ虫」と呼ぶ地方もあります。