

夷灊神社/夷隅神社(いすみじんじゃ)
夷隅神社について調べていて疑問に思ったことがあります。夷隅神社があるのは『夷隅郡(いすみぐん)大多喜町』、隣は『いすみ市』となっていて、この2つの地名は別物なのかということです。
いすみ市は、夷隅郡にあった夷隅町、大原町、岬町が平成17年(2005年)に合併してに誕生。合併の際、夷隅郡の大多喜町と御宿町は合併せずに夷隅郡として残り、いすみ市合併は紆余曲折あったそうです。
※大多喜町内の写真撮影については大多喜ロケーションサービスへの確認が必要です。
詳しくは大多喜ロケーション撮影規約をご覧ください。
夷隅神社概要
【旧社格】
郷社
【祭神とご利益】
〇須佐之男命(スサノオノミコト)別名:牛頭天王
縁結び・厄除け・五穀豊穣など
〇櫛名田比売(クシナダヒメノミコト)
須佐之男命の妃神
五穀豊穣・夫婦円満・縁結びなど
〇大国主命(オオクニヌシノミコト)別名:大己貴命(オオアナムチノミコト)
須佐之男命の孫
縁結び・五穀豊穣・商売繁盛など
【祭礼】
春期例祭 4月10日
夏季例大祭 7月15日
【ご朱印】
なし
【由緒・沿革】
創建は不明。社殿によると平安時代の長久二年(1041年)に再建、更に安土桃山時代の天正十五年(1587年)に里見氏の家臣「正木大膳亮時尭(まさきたいぜんときたか)」が再建したと伝わります。
その後、近くの大多喜城(1521年~)累世の城主により数百年の間加護されてきました。祭神の須佐之男命の別称が牛頭天王(ごずてんのう)であることから当初は「牛頭天王社」と呼ばれていました。
明治元年(1868年)十月に「夷灊神社(いしみじんじゃ)」と改称し村社に列せられる。
明治十二年(1879年)八月、大多喜七町(大多喜村・柳原・新町・櫻臺・猿稻・紺屋町・田町)の鎮守として郷社に列せられる。
明治三十九年(1906年)十二月二十五日、他の五社と併せて神饌幣帛料供進神社(しんせんへいはくりょうきょうしんじんじゃ)に指定される。
古くは陰暦六月十五日より八日間の大祭が執り行われていたが、明治四十四年より陰暦七月十五日より八日間の大祭に変更となり末社十二社となる。
※現在の夏季例祭は7月15日の模様
参考文献:夷隅郡誌
参考サイト:大多喜ロケーションサービス夷隅神社
境内案内
境内はいすみ鉄道の「大多喜駅」より徒歩約6分。車は本殿横の駐車場に停められます。
大多喜町は古くから大多喜城の城下町として栄え、現在でも歴史ある建物が残されています。
下の案内図の城下町通り(千葉県道231号線)から順に説明します。
城下町通りの案内板。
周囲には国指定文化財が点在しています。
<夷隅神社周辺の文化財>
・豊乃鶴酒造主屋他(国登録有形文化財(建造物))
千葉県Webサイト「豊乃鶴酒造主屋ほか」
・大多喜町役場中庁舎(国登録有形文化財(建造物))
千葉県Webサイト「大多喜町役場中庁舎」
・宍倉弥兵衛商店(国登録有形文化財(建造物))
千葉県Webサイト「宍倉弥兵衛商店店舗兼主屋」
大屋旅館
一の鳥居右側は江戸時代後期に創業の大屋旅館。現在でも旅館として営業しており、ドラマのロケ地としても利用されています。
千葉県Webサイト「国登録有形文化財(建造物)大屋旅館」
一の鳥居
城下町通り沿いに建つ一の鳥居。建立は大正十二年(1923年)形状は神明鳥居。
参道
一の鳥居の先は参道。狛犬、常夜灯、太鼓橋と水路、手水舎、二の鳥居と続き、奥に拝殿と本殿が鎮座します。
狛犬
建立は江戸時代後期の文政十三年(1830年)。その先の常夜灯は江戸時代中期の安永三年(1774年)建立。




神橋と水路
この水路は上宿と新丁周辺の雨水を集めたものです。上のネットは魚を鵜から守るためのものです。




手水舎
明治三十五年(1902年)建立。手水舎の奥は社務所です。
二の鳥居
形状は一の鳥居と同じ神明鳥居。建立は読み取ることができませんでした。




拝殿
拝殿は江戸時代後期の安永五年(1776年)建立。本殿は江戸時代中期の貞享二年(1685年)の建立と考えられています。
※社殿の建立について夷隅郡誌や境内案内板には記載されていません。また、外部サイトはサイトにより年代に違いがあります。
拝殿向拝、壁には彫刻が施されています。安房地方で見られる後藤流や波の伊八の彫刻とは作風が異なります。
彫工師は調べても解りませんでした。




社殿
左から拝殿、幣殿、本殿で構成される権現造りです。
招魂碑
本殿横の駐車場に建てられた三基の招魂碑。西南戦争や他の戦争の戦没者の忠魂碑、殉職警察官の招魂碑です。
宍倉弥兵衛商店
駐車場前の宍倉弥兵衛商店の建物は、平成21年4月28日、国登録有形文化財(建造物)に指定されました。
創業は江戸時代後期の天明八年(1788年)。現在でも生鮮食品、酒や日用雑貨などを販売する「宍倉株式会社」として営業しており、グループ全体で270名ほどの従業員が在籍しています。
公式サイト株式会社宍倉弥兵衛商店