高家神社 庖丁式
今回は日本でも唯一と言われる「料理の神様」を祀った、南房総は千倉にある高家神社にお邪魔しました。
藁葺き屋根も見事です。下賤なお話しになってしまいますけれど、こういうのってものすごく手入れが大変そうです。
今日は「庖丁式」が行われるので、観光客もたくさん来ていました。
日本書紀の記述によると、今から約1800年前、西暦で4世紀前半の頃、第12代景行天皇(大和武尊の父親)が、安房乃国(今の南房総地域)を訪れました。
その際、磐鹿六雁命が堅魚と白蛤(はまぐり)を獲り、それを調理して天皇にお出ししたところ、天皇はその美味しさにたいへん喜び、勅命をもって子々孫々、大膳職長(今で言う天皇の料理番)に任ぜられました。
この高家神社はその「磐鹿六雁命」を「御食津神」として主祭神に祀る神社で、日本で唯一料理の祖神を祀る神社です。
ここでは例大祭や感謝祭として、一年に3回、庖丁式がとり行われます。(5月17日、10月17日、11月23日)
今回はその中で、秋の新穀感謝祭として執り行われる、庖丁式奉納にお伺いしました。
ここが庖丁式の会場です。
まな板の上には五穀豊穣を祈願して緑、赤、白、黒、黄の5つの式紙で包まれた蛤が配置してあります。
緑は春、赤は夏、白は秋、黒は冬、黄は神様を現すのだそうです。
庖丁式は古代中国の思想を色濃く残しています。
古来日本では最上の色を「紫」としていましたが、中国古代の五行思想では「黄」を最上の色としていたそうで、庖丁式でもその思想にのっとり、黄色が最高の色とされているのだそうです。
まだ始まるまで時間がありましたので、境内を散策しました。
さすが料理の神社らしく、奉納されている絵馬も料理に関することがいっぱい書かれています。
調理師の方が多く参られているようですが、一般の方も「料理がうまくなれますように」と奉納されているようですね。
見ていて微笑ましい絵馬もたくさん奉納されていました。
中には著名人の絵馬も奉納されていたりして驚きました。
境内には庖丁塚があり、毎月17日に行われる庖丁供養祭には、調理師など料理に関わる方々が供養に訪れるそうです。
そうこうしている内に、神主さんたちが庖丁式奉納の儀のために拝殿にお集まりです。
とても厳かに儀が執り行われます。
奉納の儀が終わると、庖丁式が始まります。
庖丁式自体を、これほど間近で見られるのも国内では珍しいので、海外の方も多く見学されていました。
いよいよ庖丁式が執り行われます。
庖丁式のルーツは平安時代初期までさかのぼります。
当時の第58代光孝天皇は和歌、和琴や諸芸に秀でた文化人だったそうで、料理に対する造詣も深く、自ら食材を採取されることもあったそうです。
そこで人間が生きていくために他の生き物たちを殺生しなければいけないことに大変心を痛めていたそうで「犠牲となった生き物を供養し、霊を鎮める儀式の形にできないか」という思いがありました。
そこで側近で日本料理中興の祖とされている四條中納言藤原朝臣山蔭卿に命じ、苦心の末に「庖丁式」を完成させたという誕生秘話があるのだそうです。
今回は取材として庖丁式目前の席を確保していただけましたので、間近で撮影させていただきました。
厳粛な雰囲気の中、食材に手を一切触れず、古式にのっとって「式庖丁」と「真魚箸」のみで魚が捌かれていく姿は見事です。
ちなみに料理の際に使う箸は、全般「菜箸」と呼ばれますが、本来「菜箸」は野菜を調理する時に使われる箸のことを言うのだそうで、肉や魚を調理する際に使う箸は「真魚箸」というのだそうです。
では四條流石井派師範 庖丁士「福田 弘司」さんによる庖丁式をノーカットで御覧ください。
庖丁式が終わると、捌かれた魚を料理の神様に奉納するため、庖丁式に携わった方々が拝殿されます。
こういった厳粛な式典が執り行われる一方、実はここ高家神社は、南房総のパワースポットの1つで、南房総市もラブパワースポットとして取り上げています。
昔から「恋人をつかむなら、まず胃袋をつかめ」という故事もありますし、それに倣ってここ高家神社で恋愛祈願もされてみてはいかがでしょうか(笑)
高家神社の年中行事
◎ 5月17日:春の例祭・包丁式奉納 10:00~11:00
◎10月17日:秋の例祭・包丁式奉納(旧神嘗祭) 10:00~11:15
◎11月23日:新穀感謝祭・包丁式奉納(旧新嘗祭)11:00~12:15
◎毎月17日 :月次祭・包丁供養祭
高家神社
住所:千葉県南房総市南朝井南朝夷62
アクセス:JR内房線「千倉駅」よりバスで3分「高家神社前」
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Located in Chikura-cho,a town that retains a rich fishing village ambiance and is also famous for its flowers,the Takabe Shrine is dedicated to Iwakamutsukari no mikoto
and is the only structure in Japan created to enshrine a culinary god. Hocho-shiki performances are open to the public on May 17,October 17 and November 23,each year