
高宕観音(たかごかんのん)
高宕観音は、今まで千件以上南房総の神社仏閣巡りをしてきた中で、特に印象に残っている場所です。
上の写真のように、岩を突き抜けるように建てられた観音堂、頭の半分が無くなった仁王像、独特な雰囲気を放つ天狗の面、360度の大パノラマの山頂など、写真で見た瞬間に「何としても行ってみたい」と思った場所です。
ところが、この観音堂は往復4時間ほどの山の上にあります。普段ほとんど歩くことがない(5階の階段でさえ厳しい)私にとって、無事に帰還できるかどうかわかりません。
そこで、2ヵ月前から毎日スクワットを続け、山歩きの師匠に同行してもらい、無事に帰還することができました。
千葉県で最も高い山は南房総市の愛宕山で標高は408m。これは、全国の都道府県の最高峰の中でもっとも低い山です。
山が低いといっても、度々遭難事故が起きていて軽視はできません。
当日もサンダル履き、半ズボンの登山者を多く見かけたので、登山未経験者のために注意事項を書いておきます。
高宕山とは
高宕山は、富津市と君津市の境界線上に位置する標高330m、千葉県内第16位の標高の山です。昔から雨乞いに験力のある山として知られ、各村で祈願が叶わなかった場合に遠方からリレー登山で雨乞い祈願がされたといいます。
登山口はいくつかありますが、一般的に石射太郎(いしいたろう)山経由と高宕大滝コースが有名で、今回は駐車場がある石射太郎山登山口を利用しました。
石射太郎山登山口⇒石射太郎山⇒高宕観音⇒高宕山山頂の往復コース。距離は約5.2km。
難易度はWebサイトの山レコでは「普通」、房総のやまあるきでは4段階中3でやや高難度にランクされています。
全体を通して私の感想は、斜面はそれほど急ではなく、分岐は少なく迷うことは稀だと思われます。しかし、歩く距離が長く下山の際に膝が痛くなりました。
途中何人もの小学生グループとすれ違ったので、付き添いがあれば小学生でも登山可能。随所に岩や崖があり滑落したらおしまいという箇所もあったので装備は万全にするべきです。
途中休憩を入れ、途中で後方者に道を譲りながらゆっくり歩いた結果は5時間44分でした。
| 地点名 | 時刻 | 累計時間 |
|---|---|---|
| 石射太郎山登山口 | 09:16 | 00:00 |
| 石切り場 | 09:33 | 00:17 |
| 石射太郎山山頂展望台 | 09:44 | 00:28 |
| 高宕観音堂入口 | 11:03 | 01:47 |
| 高宕観音堂 | 11:13 | 01:57 |
| 高宕山山頂 | 11:47 | 02:31 |
| 石射太郎山駐車場 | 15:00 | 05:44 |
石射太郎山登山口駐車場(無料)
石射太郎山登山口駐車場(林道高愛宕線起点)に到着したのは9:16です。車は12台ほど停められますが、残り1台分でした。
駐車場先のトンネルは通行禁止です。
登山口に杖が置いてあります。私は脚力に自信がなかったので2本持参しました。下山途中で膝が痛くなり杖がなかったら大変でした。
脚力に自信がない人は杖を使うと足への負担が軽減されます。
石切り場 9:33
関東大震災前の明治初期から大正初期にかけて大量の石が切り出されたそうです。このような房州石の切り出し跡は鋸山付近でも多く見られます。
それにしても、ここで切り出された石をどのように下まで運んだのでしょうか?

石射太郎山頂上 9:44
登頂開始から約30分で石射太郎山頂上に到着。やや急な階段が多く、途中で3回ほど休憩しました。
石射太郎山は標高258m。
「石射太郎」という名前は、昔「台田久保」という巨人が、鹿野山から愛宕山に向かって矢を射ったところ、的から外れてしまい「石射太郎」と叫んだという伝説が由来となっています。
旧餌付小屋 9:45
愛宕山周辺は野生のニホンザル生息地として国の天然記念物に指定されています。
登山を開始してからは見ていませんが、駐車場付近で多く見かけました。
石射太郎山頂上から愛宕観音へ
旧餌付小屋から愛宕観音まで距離は長いのですが、緩やかな上り坂が続きます。
ゆっくり歩いても1時間30分くらいです。
高宕観音入口 11:02
狛犬、仁王像が見えてきました。この写真がネットに掲載されていたのを見て「どうしても行ってみたい」と思ったのです。
適切な表現は難しいですが、時が創り出した芸術のよう。生で見ると一段と迫力があります。

狛犬
狛犬は江戸時代末期の元治三年(1866年)三月十八日 甲子(きのえね=干支の60通りの組み合わせの1番目)奉納。
「世話人 庄兵衛・彌左エ門・半平」と彫られています。
仁王像
石の質や苔の感じから狛犬と同じ頃の年代に見えます。
仁王像のアップ。

石塔(三重の塔)11:09
江戸時代後期の宝暦8年(1758年)奉納。

小さな狛犬はコンクリートの補修で仮面を被ったようになっています。
高宕観音堂 11:13
<高宕観音の由来(境内の案内板)>
この観音堂の宗派は不明。行基が彫ったとされる十一面観音菩薩は失火により富津市田原の満福寺に移されたと「房総のやまあるき」に記載されているので、後日高宕山満福寺に行ってみました。
お寺によると、この観音像の保管場所は現在非公開で年1回8月に開帳されるそうです。

観音堂の裏側は岩穴となっていて1周することができます。

観音堂内部
内部の扁額は「十一面観音菩薩 峯上二十七番 小糸三十二番 高宕山萬福寺」とあり御詠歌の部分は読み取れません。
なお、峯上二十七番、小糸三十二番について調べてみましたが、上総の巡礼地として見つけることはできず廃止されたようです。
天狗の面は以下の通りです。
上総天羽郡大和田 林源兵衛
同周准(すえ)郡小濱 大守五郎兵衛
江戸三十間堀七丁目 萬屋治兵衛
同鉄砲洲本湊町 中村長兵衛

観音堂からの眺望

観音堂から高宕山頂上へ
観音堂から頂上まで約30分です。最初に手掘りのトンネルをくぐります。

ここからは、ロープを手掛かりに岩に上ったり、梯子を上ったりやや危険な箇所があります。特に岩は雨後に滑りやすいので注意が必要です。
この梯子を上ると頂上です。

高宕山頂上 11:30
石射太郎山登山口から約2時間30分で高宕山頂上に到着しました。
途中ほとんどの人に道を譲ったので、山登りに慣れている人なら2時間くらいのようです。
高宕山は標高330mです。頂上は360度の大パノラマで、房総屈指の景観です。
頂上は狭く高宕観音の奥の院と呼ばれる青龍権現の石宮と鉄鍋が安置されています。
この青龍権現と鉄鍋は、字藤原の村社青龍権現に奉納されていたもので、明治初年の神仏分離でここに移されたようです。
高宕観音と高宕山は富津市と君津市の境界にあり、地図で確認すると高宕観音が富津市、高宕山山頂が君津市で、詳細な住所はわかりません。


