ひじき
房州(南房総/安房国)では3月から4月にかけてひじき漁が行われます。下の写真は南房総市白浜町川下港のひじき漁の様子です。川下港周辺は遠浅で低い岩場が続く絶好の漁場なのです。
漁は3月と4月で1年に3回のみ。大潮の干潮時間に行われます。潮が引くと岩場にひじきが現れ、付近の漁師が手で刈り取ります。ひじきはトラックで運ばれ、釜茹でしてから乾燥し海藻店、おみやげ店などで販売されます。
漢字では「鹿尾菜」「羊栖菜」これを読める人は少ないのではないでしょうか。学名はSargassum fusiforme/Hizikia fusiformis。褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻です。
分布
日本では北海道南部、本州太平洋岸、日本海南部、四国、九州、南西諸島に分布。日本以外では中国南部、朝鮮半島に分布し、日本国内で流通するひじきの約90%は中国、韓国からの輸入品。国産品はほとんどが天然物ですが、韓国産、中国産はほとんどが養殖物で日本産に比べ固めの食感です。
ひじきの栄養価
最大の特徴はカルシウム、マグネシウム、食物繊維が多いことで、カルシウムは海藻類中トップ。牛乳の12倍のカルシウムが含まれています。日本食品成分表
かつては鉄分の王様と呼ばれていましたが、製法により違いがありステンレス窯で煮た場合は可食部100gあたり6.2mg、鉄窯で煮た場合は55mgと大きな差があり2015年に改定されました。
ヒ素問題
ひじきには他の海藻に比べヒ素が多く含まれイギリスやカナダなどでは健康上好ましくないとして勧告が出されました。
ヒ素には有機ヒ素と無機ヒ素があり注意が必要なのは無機ヒ素の方です。農林水産省によると無機ヒ素は水溶性であり、調理の際に水戻しで平均58%、水戻し後にゆでこぼし、水洗いで9割程度まで低減できるとあります。
私は水戻しの際なるべく多くの水にいれ1時間(途中で水を替える)、さらにゆでこぼしをしたあと水洗いをしています。厚生労働省によると、体重50kgの人が毎日4.7g以上を継続的に摂取しない限り限度を超えることはないとあります。
詳しくは農林水産省のWebサイトをご覧ください。
ひじきの種類
一般的に販売されているのは大別して「長ひじき」と「芽ひじき」の2種類。この2つは品種が違う訳ではなく同じ種類で部位が違うだけです。
長ひじきは「茎ひじき」「糸ひじき」とも呼ばれ芽ひじきより太く風味が強いのが特徴。
芽ひじきは「米ひじき」「姫ひじき」とも呼ばれ先端の芽の部分だけを乾燥させたもので柔らかく繊細な風味です。
房州ひじきとは
房総のおみやげ店では「房州ひじき」と書かれた袋を見かけます。これは一般のひじきと種類が違うのでしょうか?
単に房州で穫れたからそう呼んでいるのでしょうか?
ひじきの加工方法は大別すると伊勢製法と房州製法に別れ、房州製法で加工されたものを房州ひじきと呼んでいるのです。
参考サイト:こんぶのくらこん(ひじき講座)
伊勢製法はひじきを採取して加熱せずに乾燥し、その後水戻し、蒸煮、乾燥して出荷します。
房州製法は収穫してすぐに蒸煮または煮熟(水を加えて煮る)にしてから乾燥して出荷します。
私は伊勢製法と房州製法とを食べ比べたことはありませんが、房州製法で作られたひじきは、ふっくらとやわらかく艶やかに煮あがると言われています。
収穫したひじきは集められて釜茹でにします。
レシピ
最も一般的なのは醤油、砂糖、酒で煮た煮物。他にもサラダ、ハンバーグ、餃子、炊き込みご飯などに使われています。
煮物
左が長ひじき、右が芽ひじき。砂糖、醤油、みりん、酒で煮込みます。面倒な場合は麺つゆでもOK。油揚げや人参などを入れても美味しいです。
ラーメン
最も手軽なのはこれ。カップラーメンやカップ焼きそばに水戻ししたものを入れます。ただし、油揚げ麺は出来上がりまで3分なので固い場合があります。
下の写真は長ひじきですが、カップ麺の場合は、芽ひじきの方が向いています。
ひじきの軍艦
私の一押しが軍艦。酢飯との相性抜群です。